柏市民オンブズマン通信 #9



第 9 号

 

2000年(平成12年)9月20日



第7回全国市民オンブズマン大会が東京千代田区一ツ橋の日本教育会館において、8月19・20日の両日に亙って開催されました。今回は開催の連絡が遅く、会員の皆様に連絡が徹底されなかった面もあり、お詫び申し上げます。しかし、当柏市民オンブズマン連絡会議からは5名の方が参加され、第3セクター分会では常磐新線の首都圏新都市鉄道㈱を取り上げ積極的に問題を提起し注目を集めました。来年は京都で開催するとの事、多くの方のご参加を期待しております。


東京大会宣言


本大会は1994年の第1回大会いらい7回目を迎え、首都・東京で開催された。この間私たちは行政の透明化と公金の不当な是正を求めて多用な活動を展開し、市民の意見が反映する行政の確立を追及してきた。

私たちは本大会で、塩漬け土地・談合・第3セクターと言う巨大な税金の無駄遣いとその克服方法について検討した。

また昨年初めて全国的に実施された包括外部監査の結果を市民の視点で点検し、今後のあるべき方向性を提言した。

これからの検討結果は各分科会等から提案された決議案の通りである。

私たちの運動は、官官接待やカラ出張のような事務経費の不正から公共事業の壮大な無駄、とりわけその政策決定過程の不当性に追及の対象を広げてきた。その武器は、常に情報公開条例の活用によって獲得された行政情報であった。

来年度からは情報公開法の施行により、国の行政情報を獲得できると言う画期的な時代を迎える。

長年にわたり市民の目から遮断されていた国の行政に対し、ようやく情報公開の光が当てられる。

国の情報は市民の健康・教育・環境など生活の全てに影響する。私たちは志を同じくする市民と手を結び、情報公開法を最大限に活用して、市民の為の行政の確立を期する。

特に危機に瀕した国・地方の財政を立て直す為には、政策決定過程の情報を公開させ市民の批判に晒すことが不可欠である。

本大会で私たちは韓国の市民運動「参与連帯」と交流し、多くのことを学んだ。

私たちは、今後とも国際連帯の中で、市民・納税者の権利保障に関する我が国の制度を国際的水準に到達させることを追及する。

2000年8月20日
第7回全国市民オンブズマン東京大会
参加者一同


塩漬け土地分科会アピール決議

土地開発公社の土地保有額は全体として圧縮に向かい始めていますが、5年以上保有の塩漬け土地は逆に増大の一途を辿っており、その金利負担の累増によりますます塩漬け解消は困難になりつつあります。

その解消の為に自治省が打ち出した土地開発公社の「経営健全化対策」は、この塩漬け土地の加速度的増加を前にして遅きに失したとは言え、自治体の健全化努力を引き出すものとしては評価できるものです。しかし健全化目標値の設定に当たって効果的な原則算定方式に代えて例外算定方法を認めた結果、塩漬け土地の解消には掛け離れた結果としならないものとなっています。

これでは土地開発公社の「経営健全化」達成は困難です。自治省は原則算定方式による「健全化目標値」の達成を各自治体に求めるべきです。

全国の土地開発公社およびその設立団体は、塩漬け土地解消の為に国に財政支援を仰ぐだけでなく、先ず何よりも自助努力によりその解決を図るべきです。

特に土地開発公社借入金に対する金利については、借入先決定に入札制度を採用する事によりまだまだ大幅に削減しうる余地があります。

自治省がこの入札制度採用を強く求めている事を含め、各土地開発公社および設立団体は、借入先の決定につき速やかに公正かつ透明な入札制度の採用を図るべきです。

土地開発公社に対する情報公開制度は、その準備が進み始めた事は歓迎します。

しかし、その大部分が土地開発公社の要綱によるものであり、設立団体の情報公開条例の中で実施機関となっていない事例が大多数です。従って、その情報が非公開となった時の救済制度が殆ど存在せず、制度の実効性を阻害するものとなっています。

住民の情報開示請求権を確立し、住民の行政監視機能を強化する為にも、各設立団体の情報公開条例の中に土地開発公社を取り込み、個別的土地取り引きや土地取得決定の政策判断を含めた情報公開請求を可能とすべきです。

土地開発公社の土地取得全体について、議会監視の強化を図ることが重要であります。この点については自治省は今だ何ら方向を示せないでいますが、速やかに一定の指針を打ち出して制度の確立を図るべきです。

地方公共団体の土地購入に当たって現行自治法施行令は不適切であり、議会の議決を必要とする際の面積・金額基準のうち少なくとも面積基準は撤廃されなければなりません。

土地開発公社保有地の時価評価を義務付け、議会の債務保証の議決を得る為の必要条件とする事も、土地総量規制や不要不急の土地購入を制止する上で効果的です。自治省は、土地開発公社の経営健全化を促進する為にも、既に民間企業に導入が決定されている保有土地の時価評価制度の導入を同公社にも早期に図るべきです。

土地開発公社を包括外部監査のテーマとするに当たっては、特に長期保存土地の取得価格の適正性等、個別の取り引き事例に含まれる問題点に深く踏み込むべきです。

今日の日本の経済実態から見て、このさき土地開発公社制度を利用した土地先行取得制度は無用の制度と言うべきです。

設立団体自ら土地を先行取得する事が可能である以上、屋上屋を重ねるこの施策は不必要です。

却って議会や国民の監視機能の働かない中で、自治体に巨額な財政負担をもたらす危険なシステムとして、国および地方公共団体は公社を廃止する事を真剣に検討すべきです。

以上、決議します。
2000年8月20日
第7回全国市民オンブズマン東京大会
参加者一同

常磐新線(つくばエクスプレス)の問題点を追ってみる!


比較的最近に出来た千葉県内の鉄道の運賃をJRの電車の運賃とを比較してみた。次の表の通りである。

JR(電車区間) 北総開発線 京葉高速線 千葉モノレール
営業km 片道運賃 営業km 片道運賃 倍率 営業km 片道運賃 倍率 営業km 片道運賃 倍率
1~3 130円 1.3 200円 150% 2.1 200円 150% 1.5 190円 150%
4~6 150円 4.7 300円 200% 4.9 270円 180%
7~10 160円 7.5 440円 280% 9.8 490円 300% 9.2 410円 260%
11~15 210円 12.7 570円 270% 13.8 550円 260% 13.5 490円 230%
16~20 290円 17.8 680円 230% 15.2 610円 210%
21~25 380円 23.8 760円 200%
26~30 450円 28.5 790円 175%
31~35 540円
(注) JRはJR東日本圏内、倍率は数字の末尾を0または5に丸めた。

比較的最近に出来た鉄道運賃をJR電車運賃を比較してみて分かることは、比較的近距離の運賃が大変に高額であると言うことだ。特に7km~15kmではJR運賃の2.3倍から最高3倍と言う猛烈に高い料金である。因みに柏から松戸まではJRの営業キロは11.2kmであるから、北総開発線並みで計算すれば570円、東葉高速線では550円と言うことになる。JR線は210円、即ち往復してもお釣りが来ると言う事である。これでは鉄道を利用して近所の繁華街へ買い物へ、お食事へと言う訳にはいくまい。それより通勤・通学の人に大きな影響を及ぼすだろう。JR利用者の2~3倍の運賃が必要となれば、雇用者は敬遠するであろうし、通学生の保護者の負担も大きい。沿線に住民が増える筈もないし、多少遠くても他の輸送手段があればそちらの方を利用するだろう。

しかも、これだけの高い運賃を取っても、北総開発線・東葉高速線・千葉都市モノレールとも赤字線と言われている。東葉高速線では2000年(平成12年)3月31日の決算で累積で約502億円の欠損、1999年(平成11年)の単年度だけで約133億円の欠損となっている。これは、来期いこう金利負担が益々大きくなってくるから、更に赤字は大きくなると考えてよい。

せんじつ県庁に用事があり、ものは試しとモノレールに乗ってみた。通常はJR千葉駅から歩いても10分ぐらいなので、利用する事はまず無かった。千葉駅からの営業キロは0.8km、190円はちょっと高いと思ったが、利用客の少ないのには驚いた。勿論ラッシュ時間を外した昼間の時間帯と言う事もあると思うが、それにしても我々グループ3名のほか5~6名しか乗っていなかった。これではとても採算が合うまい、としみじみ感じてしまった。市民の必要性を見誤った結果であろう。しかし、その結果の尻拭いは税金と言う形で容赦なく市民に襲ってくる。

それでは、常磐新線は北総開発線や東葉高速線より運賃が安くなるような有利な点があるのだろうか。まず無い、と言い切ってよいのではないか。建設費は東葉高速線並みもしくは秋葉原―守谷間の直流区間はそれ以上と考えられる。むしろ、130キロ/時の高速電車、高価な直交流両用電車の採用、それに利用者の少ない守谷―つくば間の交流区間の運営等、むしろコストアップ要因の方が多いと言える。

唯一の優位点として建設費の利子負担が少ないという事が言われているが、これとて危ないものである。民間からの投資も当初見込みの200億円はとても無理な状況であるし、前払いさせた自治体からの資本金の運用も190億円の利益を出す事は到底できまい。その差額は利息の付く借金に頼る事になる。それに無利子貸付金が国と地方自治体から貸し付けられると言う事で、何かそのお金は全く利息を払わずに済むような錯覚を覚えるが、そのお金は鉄建公団に貸し付けられ鉄道を建設する。首都圏新都市鉄道㈱はそれを40年の年賦にて鉄建公団から買い取る。その際、生じる費用の返済の期間差(時間差)により、鉄道会社は鉄建公団に支払い利息が出てくる。無利子ではないのである。

裁判関係のお知らせ

市議の海外視察研修

①柏一次の控訴審 8月31日 午後1:15 東京高裁 825法廷にて

②流山一・二次訴訟 10月18日 午前10:00 判決の言い渡し 千葉地裁501号法廷

いよいよ長かった裁判も終わりを告げ、判決となります。この判決は次の柏第二訴訟にも影響を与える重要な日です。会員の皆様も傍聴を是非お願い致します。

③柏二次訴訟 11月29日 午後1:10 判決の言い渡し 千葉地裁501号法廷

これも判決の日がやって来ました。流山とは少し論点が違っており、判決の内容が楽しみです。場合によっては控訴も考えましょう。応援傍聴を頼みます。

・「平成12年第1号事件」これは第二清掃工場に関するリーフレットの訴訟「平成9年六五語事件」に関連して、「柏市一般廃棄物処理基本計画」の策定料返還訴訟です。10月6日 午前10:00 千葉地裁501号法廷

 

陳情の取り扱いについて

しかるべき筋の情報によれば、今9月議会の議会運営委員会にて陳情に対する扱いを変える事を決めたと報じている。

その理由が柏市議会への陳情件数が大変に多い事、そして必ずしも真面目なものと受け取れないものがある、等が挙げられていると聞く。そして、陳情を各委員会で取り上げない市議会も多い、との資料も市側から提出されている事も理由の一つとしている様である。

陳情を今後どのように扱うかは未だハッキリした事が分からぬのでその扱いを注視して行きたいが、次の事だけはお願いしておきたい。

陳情を従来通り受け付けて、各委員会にて審議し、採択・不採択を決め、本議会にて確認する事。

陳情の多い事が何か議員の負担を多くさせ悪い事のような扱いは、どうしても理解に苦しむ。陳情が多いと言う事は、それだけ住民の議会への関心と信頼が高いと言う事であり、誇りに思っても悪い事ではあるまい。だいいち、日ごろ議会の活性化を唱えている議員が、市民の市議会に対する最も直接的な行動である陳情を制限するが如き態度は、正に時代錯誤と言わざるを得ない。

いま地方分権・市政への市民参加が叫ばれている時、陳情を受けぬ議員であるなら、市民の付託に答え市民の声を市政に積極的に反映させる意欲を持つ議員であるとはどうしても思えない。

最近の柏市議会は、一般質問の時間を短縮したり、委員会の委員の質疑時間を制限したり、そして今度の陳情の取り扱いの変更である。

どう市民から見ても、少しでも市民の意見・意思を議会が代弁しようと言う努力の欠如としか見えない。

議会はいかに民意を代表して、行政に反映させ、監視していくかの基本を考えれば自ずとその答えは出てくる筈である。何も時代的に遅れた悪い見本のような他の町村を見習う必要は全く無いのである。

市民もこの結果をよく監視して、いかなる会派が、いかなる議員がどの様な行動を取るかを見て、次の選挙の時にしっかりとそれを活かして、その様な議員を2度と議場に送らない様にしなければならない。

(編集部)

 

柏市民オンブズマン通信 #8



第 8 号

 

2000年(平成12年)3月30日



第一次海外視察研修(1996年度)費用の返還請求の判決!


1997年(平成9年)9月25日に本多晃(柏市長)とし、弊オンブズマン連絡会議会員の小池盈久および吉川洋が原告として、1996年度(平成8年)に実施した柏市議による海外視察研修(東葛都市議会連絡協議会行事)の公費支出を違法・不当として支出240万円の返還を柏市に代位して求める訴訟を千葉地方裁判所に提起してきました。

本年1月28日に千葉地方裁判所第501法廷にて、この訴訟の判決が園部秀穂・裁判長より下記の様に言い渡されました。

主  文
原告らの請求を棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。


事実および理由(概要)にて「第1に請求」を「第2に事案の概要」を記載し、その中で「争点」として1「本件視察旅行が社会通念上相当なものか」、2「宿泊等を負担金として支出する事は適法か」、3「本件視察旅行参加者への日当等は二重支給されたのか」、の3点に絞り、原告ら及び被告の主張を掲げ、第3に「当裁判所の判断」を記載しています。

即ち、1の「社会通念上相当なものか」については、「目的自体は妥当と断定し、いろいろ検討した結果、結局、本件視察旅行は全体として前記目的の下に行われたものと評価することができる。」として、本件支出が違法との原告らの主張を退けます。

また2の「負担金として支出することは適法か」については、予算制度の趣旨に反し違法か否かを検証しています。そして予算科目のうち「款」「項」は議決科目であるのに対し、「目」「節」は執行科目として長が定める事とされており、科目間の流用は禁止されていないから、「節」の「旅費」と「負担金補助及び交付金」との流用は違法とは言えず、また団体の割り引き価格への分担となる負担金扱いは合法、としています。

更に3の「日当等は、二重支給されたか」については「二重支給した事実を認めるに足りないから、原告らの主張は理由がない」と簡単に切って捨てています。

最後に「結論」として「以上によれば、その余の点について判断を進めるまでもなく、原告らの本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条、六五条に従い、主文のとおり判決する。」となっています。

しかし、この判決理由を見る限り、被告側の主張のみ受け入れ、原告らの主張を全く問題にしていない姿勢が感じられます。

先ず1の「社会通念上相当なものか」についてであるが、本件視察旅行の目的を「高齢者福祉行政と先進都市の行政機構、施策の調査研究」としていますが、往復の日程を入れて全日程9日間のうち高齢者福祉行政に関しての行動は、福祉施設3ヶ所への訪問、日程としては1日半であります。福祉行政とはただ施設のみではあるまい。他にもいろいろ行政が取り組んでいるものがある筈であります。更に、先進都市と言うが、何が先進なのか、学ぶべき問題に余って先進・行進も違ってきます。先年フランスのパリから日本(柏市へも)へ廃棄物(ごみ)の収集・資源化の視察団が来たことが報告されています。少なくとも廃棄物(ごみ)の収集・資源化はパリより柏市の方が先進都市なのです。しかし、芸術的・文化的面で柏市の方がパリより先進都市であると主張する人はいないと思います。オランダ・アムステルダム、デンマーク・コペンハーゲン、スイス・チューリッヒの如何なる所が先進的なのか具体的な指摘は全く無いし、判決も触れていません。欧米各国の都市なら何でも日本より先進的であると言う考え方に問題があります。

2の負担金として支出することの合法性に対しては、ただ予算の趣旨に反するか否かだけを検証していますが、旅費は単なる予算の趣旨のみではなく、柏市職員旅費支給条例が定められています。その条例の趣旨と例文との関係もとうぜん問われる筈ですが、判決は全く触れていません。また東葛都市議会連絡協議会と言う任意団体への公費支出の合法性に対する疑問にも何ら答えておりません。3の日当の二重支給の可能性に至っては、事実関係を全く調べる事も無く(証拠調べも無く)「認めるに足りない」としています。

以上の様に、今回の判決はいろいろな問題点を積み残したまま出されました。これを同一もしくは類似の訴訟である1997年度(平成9年)の同じ海外視察研修旅行(第2次訴訟)、流山市での第1次(97年10月3日提訴日)、第2次(98年11月12日提訴日)と比較してみても、その粗雑な審理が分かります。即ち、今回の判決までの口頭弁論は7回で、昨年9月10日が最終弁論で12月10日に判決の言い渡しとなりました。しかも、その12月10日の朝、原告らに翌年1月28日に延期するとの通告が一方的に裁判所より連絡されてきたと言うお粗末さです。これに較べ、柏市の第2次訴訟(98年6月16日提訴日)は、口頭弁論6回、弁論準備(原告と被告および裁判長同席で訴訟の進め方を協議する)5回に及んでおり、今なお係争中です。流山市も同一事件2件が係争中で、第1次・第2次が併合審理されています。これも口頭弁論は9回、弁論準備は3回に及んでいます。

以上の例からも、今回の判決が充分な審理が尽くせぬまま決定された事が分かります。このため原告らは控訴する事を決め、その手続きを終えました。

編集部

柏市民オンブズマン連絡会議役員改選のお知らせ

柏市民オンブズマン連絡会議の第50回例会(第4回総会)が2000年1月29日(土)に、豊四季台近隣センターに於いて開催されました。その中で1999年度(平成11年)の活動および前日の千葉地裁にて下された第1次海外視察研修に対する判決の報告がされました。また同年度の会計報告および監査報告も行われ、承認されました。

次いで役員改選が行われ、この度は設立以来ながく事務局長の任にありました小池盈久氏が一身上の都合から退会される事になり、幹事は従来の6名に新たに高安修平氏が選出されました。その結果、幹事の互選および推薦により、下記の様に承認されました。

代   表 村上隆久 会   計 井上 肇
事務局長 石蔵保夫 会計監査 信太忠二
事務局次長 高安修平 広報部長 三田村元孝
    組織部長 山下智博

なお小池盈久氏は第1次海外視察研修訴訟に対する控訴審への原告としては、吉川洋氏と共に残って下さるとの事であり、今までのご協力とご苦労に改めて感謝申し上げる次第であります。また柏市民オンブズマン連絡会議も引き続きこの控訴審も後援して行くと同時に、第2次海外視察研修訴訟にも注力していく事を確認しています。

「日独裁判官物語」の上映と東葛フォーラム実行委員会へご参加ください

記録映画日独裁判官物語上映と東葛フォーラム

あまりにも違う!司法のあり方 日本と独逸

ドイツにできたことが、なぜ日本にはできないのでしょうか。

日独裁判官の姿を通して「司法のあり方」を激しく問う60分!

日 時 2000年5月21日(日)午後6時半より
場 所 アミュゼ柏 クリスタルホール(400人収容)
料 金 900円
後 援 柏市教育委員会
協 賛 日本民主法律家協会
推 薦 日本弁護士連合会、司法改革推進センター
フォーラム
への参加者
高橋利明・弁護士(上記映画製作100人委員会事務局長)
連絡先 石蔵保夫 柏市豊四季台4-1-93-403
℡0471-46-7173

砂川美術工芸館の在り方を考える


柏市に唯一の美術館として、砂川美術工芸館がある。「型絵染」の人間国宝である芹沢 介氏の代表的な作品が展示されています。これは、故砂川七郎氏から寄贈されたもので、砂川邸内の施設を借り受けて1996年(平成8年)2月から柏市が運営しているとの事である。

しかし、これに全く問題が無いのであろうか。この砂川美術工芸館の収支を1998年(平成10年)の決算書で見てみると

収入(入場料) 105万4920円
経 費 2119万8347円

である。実に、約2000万円の経費の持ち出しである。入場料収入の約100万円を平均1人の入場料を200円として計算すると、年間入場者が5000人で、開館日を300日で考えると、1日の入場者数は何と17人足らずと言う事になる。32万人都市の柏市で、17人足らずの入場者である。もちろん他の府県・市町村からの来館者もいると考えられるから、柏市民の入場者は更に少ないであろう。

 

試みに回りの市民10人位に聞いてみたが、一人見に行って来たとの事で他は未だ一度も行った事はないとのことであった。その理由は場所が不便であること、「型絵染」と言う特殊分野のため興味を持つ人が少ないと言う事であった。こうなると「誰の為の、何の為の美術館か」と言う事になる。

もちろん美術・工芸品の重要性を否定するものではない。その芸術性は充分認識しているつもりである。しかし、それがほんの一握りの愛好家の為であり、その為に毎年2000万円の支出が必要となると、柏市が本当にそれを運営する必要があるのか考えて仕舞う。

また運営するとしても、アミュゼ柏に併設する様にしていたら入場者の数も違ったものになったかも知れない。

要は「(一旦)造ったら、その後の責任は無い。赤字なら税金で補填すればいい。」と言う発想である。敢えて苦言を呈したい。

(三田村記)

編集後記

この号は昨年(1999年)12月に発行する積もりでしたのが、予定していたトップ記事の原稿が遅れて仕舞い、発行できず誠に申し訳なくお詫び致します。

この号も原稿が集まらず独断と偏見で進めて仕舞いました。皆様、宜しくご投稿のほどを!

(み)

 

柏市民オンブズマン通信 #7



第 7 号

 

1999年(平成11年)9月24日



柏市民オンブズマンは、主催者の要請により、全国市民オンブズマン神奈川大会へ2名の応援者を派遣(但し全額自己負担)いたしました。そのほか自主参加者は4名で合計6名が大会に参加しましたが、これは千葉県内でも多い参加者と多少誇りに思っています。参加者の方々、ご苦労様でした。


第6回全国市民オンブズマン神奈川大会宣言


国と自治体のとてつもない税金のムダ遣いに目を光らせよう!
今大会は、47の全都道府県から古い湊町・横浜に集まり、「こんなにあるじゃん、税金のムダ遣い」との大会テーマの下に、様々な角度から国や自治体の壮大な税金の無駄遣いにメスを入れました。調査対象の多くは情報公開の実施機関とされていない機関のものであった為に調査は困難で不充分でしたが、次の様な事実が明らかになりました。
地方自治体の分身である土地開発公社は、調査の対象とした道府県と政令市・県庁所在都市などが持つ93の公社に限っても、その土地保有総額は4兆7千億円に及び、そのうち3割が5年超の長期保有地でかつ巨額な含み損が発生している事が明らかになりました。そして、土地開発公社と並んでその実態が隠されている第3セクターも3千社近くある商法法人では、一自治体で数百億円の損失を出すなど野放図な管理によって多くが危機的な状況にある事が具体的に報告されました。

各都道府県の生活排水処理整備計画では、広域下水道など集合処理設備を全国津々浦々に作る事になっています。しかし、げんざい未整備になっている地域の多くは、合併処理浄化槽の他に、環境的・経済的優位性がある事が実践自治体からの報告で実証されました。費用は凡そ5分の1で、ねんかん数兆円に及ぶ節減が出来ます。そして、神戸空港計画や福島空港拡張計画などについては、その非合理性や不採算性に誰もが頷きました。

談合による市場分割と価格支配はあらゆる業界で繰り返されていますが、競争が確保されれば価格は80%前後に下がる事が明らかになりました。無駄な支出の上に、更にその2割が談合企業によって吸い取られているのです。

参加者の交流の中で、福岡やかながわ市民オンブズマンなど幾つかの地域で成功している市町村単位のグループの結成とそのネットワーク化を進める事の有効性が確認できました。そして、相連携して、自治体や議会に情報公開を求め、それらの経験を共有する為にも都道府県あるいは地域ブロック単位で「情報センター」を造る事の必要性が確認されました。そして、裁判所が持つ筈の理性を呼び覚まし、民主主義が予定する各機関の本来の行政監視機能を発揮させる必要も指摘されました。

住民の目からも遮られ、議会の監視の外にある自治体出資法人の財務が乱脈となる事は自明です。そして、大型の公共事業は、最終利用者であり費用負担者である住民の意志や便益とは無縁に強行され、費用だけが”公共負担”となる事がわかりました。

言うまでも無く、無駄な公共事業の財政負担は住民の肩に重く圧し掛かってきます。国や地方公共団体の財政破綻が現実味を帯び、98年度の地方税収不足が3兆円を越えたと言われる今日、新税の創設を目論む前に先ず国と地方自治体は次の事をなすべきです。

国は国自身と特殊法人、地方自治体は自治体自身と出資法人の財務状況を調査して国民の前に報告する事。特に自治省は全国の土地開発公社の保有地情報を全て開示する事。
国と自治体は、環境を破壊し巨額な付けを国民に残す公共事業の抜本的な見直しを行い、事業地の意見を聞き、住民が不要とする事業の中止を直ちに決断する事。
国と自治体は、国における特殊法人、自治体における出資法人を、それぞれ情報公開の実施機関とする法制度上の整備を前倒しで行うと共に、現時点で早急に財務諸表ならびに附属明細資料を公開対象とする措置を講ずる事。

私たちは、この大会で明らかになった不経済な公共下水道方式の即時の見直しや、公共事業の入札において参加事業者の地域限定をしない一般競争入札の導入などを各首長に求め、更に第3セクターの実態調査と分析を続け、放漫管理の是正をも求めて行く事としました。

住民の沈黙は行政の承認となり、”信頼とお任せ”は行政に不正と怠慢と非効率を招きました。その結果生み出された今日の惨状を考える時、改めて、行政情報の公表・公開と住民の政策決定への参加の重要性が確認できました。私たちは、日々の住民不在の行政に対する追求には確かな手応えを感じてきましたが、これからは一層ひろく市民との連帯の輪を広げながら、巨額な無駄・巨大事業をも視野に入れて、監視と参加を強める新しい運動に挑戦する事としました。

最後に、1年余りに迫った情報公開法の施行に備えての新たな決意と、実りの多い大会であった事を改めて確認して、この大会の宣言とします。

1999年8月1日
近代開明の地 横浜に集まった第6回市民オンブズマン神奈川大会
参加者一同


塩漬け土地問題解決の為の提言(概要)

簿価数兆円に及ぶ巨額の土地が長期に渡って事業化されないまま保有され、その累積利息が自治体の財政を圧迫しています。この「塩漬け土地」の問題を解決する為には、問題の所在に関する情報の全面的公開と解決方針策定手続きへの市民参加が不可欠です。

この点に関し、私たちは次の事を提言します。

(1) 情報の公開について
自治体は土地開発公社に係る事業実態調査の結果を公表する事。
自治体は自治体自身および土地開発公社の保有地情報を把握し、所在地・取得価格・累積利息等を含む全ての情報を公開する事。
各自治体は、各土地の取得目的、取得経緯を記載した公文書(取得依頼の執行の伺いなど)を全面的に公開する事。
(2) 利用および管理方法の検討機関について

塩漬け土地の具体的な活用・転用方法、金利負担の軽減を含む管理方法等を検討する機関として、執行部から独立し、市民に開かれた機関を設置する事。

(3) 政令の改正について

塩漬け土地が発生する根本原因は、安易な土地取得を許している現行制度にあります。この制度が土地の一定面積未満の場合、議会の議決権を奪っているのです。この制度を直ちに廃止し、一定金額以上の土地取得については議会の同意を必要とする事。

(4) 新規取得依頼の停止について

自治体が土地開発公社に新たに土地取得依頼を止め、公社の廃止を検討する事。

(5) 外部監査人の活用について

情報公開センター(仮称)の設立について「要旨」


第6回全国大会に於いて高橋利明・代表幹事より趣旨説明があり、設置を満場一致で承認した。この件は別紙説明書が配布されたが幹事会での討議を重ね、その煮詰めた結果が書かれていて、初めて見る人には理解し難いので若干説明します。

情報公開法の設立を受けて、その開示手続きの使い勝手を良くする事と、遠隔地の人の手助けをする必要がある。霞ヶ関の情報を遠方の人が請求するのは、交通費・宿泊代等の費用が掛かるのは大変である。そこで都心にセンターオフィスを設け、ベテランの専従者を置き、請求手続きを代行しようとするものです。


1) センターの機能は
市民の情報公開請求のサポート(電話、FAX,電子メールなどによる)
公開事例の集積、公開請求のノウハウ・各種情報の蓄積と各地への伝達
情報公開請求訴訟の支援
情報公開制度の比較調査研究
行政に対する監視・監査活動の支援、等々を構想する。
2) 設立は連絡会議が主体になり、来年の全国大会開催時を目標にする。
3) 設立および運営資金は、事務所とスタッフの経費3年分としても「億」の金が必要になるであろう。各地のオンブズマンの協力とカンパ募金を期待している。
4) 連絡会議と市民センターとの関係は、センターはNPO法人として発足する。連絡会議と別組織になるが、相互に連絡を密にしていく。

自治省通達「第三セクターに関する指針」について

1999年(平成11年)5月20日に各知事・各指定都市市長宛に表記の通達があった。第三セクターの常磐新線建設に何らかの影響があるものと期待できます。

主旨としては、<1997年(平成9年)11月に示された「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」においても主要事項の一つとして取り上げられている様に、第三セクターを含む外郭団体関係の見直しが大きな課題となっている。また近年、経済環境の変化等により、一部の第三セクターでは赤字の累積等経営が悪化し、事業遂行等に支障を来している事例も見られる。このため、地方公共団体にあっては、関係する第三セクターについて経営状況の点検評価を行うと共に、運営改善や統廃合等に積極的に取り組む事が求められている。>と明記されています。

通達は主に経営悪化団体や破綻処理対策だが、建設中の事業体にも経営状況の点検評価を行い設立団体に財政運営に影響が及ばないよう指導監督に努めるよう指示しています。その要点を列挙します。

「3セクの役職員数や給与の見直し、組織機構のスリム化、統廃合等を進める必要。経営者の職務権限の明確化。地域住民・議会への情報公開。需要予測と収支見直し、および損失補償契約等を議会に予め説明する。経営状況の点検評価を定期的に実施。外部監査制度の活用で監査体制の強化。事業存続の為の公的支援の追加は経営責任を明確化した上で。」等々で、この指針を参考に3セクの見直しを進める事を期待する。この通達に強制力があるのか分かりませんが、「ハチの一刺し」には十分なるでしょう。

文責 小池盈久

常磐新線(つくばエクスプレス)の問題点を追ってみる!


何ヶ月前東京都知事に選出された石原氏がテレビ出演しているのを見た。地下鉄12号線(現・大江戸線)に関しての問題であった。これの建設費が当初予定の6000億円台から9000億円台に登る事についてのインタビューを受けての出演らしい。

石原新知事は大変に怒っていた。50%もの建設費アップとはお役所仕事の典型、全く責任を取らない官僚、そして工事を業者に分割発注する事による談合の為の費用アップだと断じていた。しかし都は費用を少しでも少なくする為に地下鉄の断面積を従来のものより小さくし、更に鉄建公団に建設依頼をせず、都の第3セクターにより節減を期していた筈である。

然るに、この様な結果となってしまった。テレビによると、これで採算を合わせようとすると初乗り1000円になると言う。これでは乗る人はいないと思ったら、交通局長が出て「1000円にはしない。出来るだけ他の都営地下鉄線に合わせて170円にしたい。」と話をした。しかし、これでは完全に地下鉄12号線は大きな採算割れで、赤字の累積は、そうでなくとも財政難に悩む東京都の将来に多額な負担を負わせる事になる。

しかし、これは他人事ではない。先ず常磐新線がこれに繋がる事になっている事である。その運賃体系はとうぜん新線沿線住民にも響いてくる。それよりも問題は建設費である。地下鉄12号線は延長40.7kmである。すると9000億円以上の建設費と言う事は1km当たり220億円以上となる。しかし常磐新線でも建設費は1兆500億円と発表されており、それに開業前の会社運営費が別に193億円計上されるから合計約1兆690億円、常磐新線の総延長は58.3kmであるから、1km当たり約183億円となる。

ところが常磐新線は、地下鉄12号線と違って、茨城県の守谷から交流となる。直流域より交流域の方が建設費が安く済むことは常識であり、更に秋葉原―守谷間の直流域は多くの地下鉄工事・鉄橋工事があり、また東京に近いほど人件費も高くなることを考慮すれば、茨城県内(24.2km)の建設費は相当に安いと考えてよい。即ち秋葉原―守谷の間の建設費は1km当たり183億円を上回り200億円以上になる公算が大きい。しかも常磐新線はこの区間で採算を採らなければならない。何故なら、この区間で電車を走らせ乗客を大勢運んで収益を見込まなければならぬからである。守谷―つくば間は沿線定着人口が少なく、ラッシュ時でもせいぜい4本ないし5本/時と鉄道会社は発表しているからこの区間で採算を採る事は先ず難しく、おそらく相当の赤字であろう。そのぶん秋葉原―守谷間で余計に稼がなければ、黒字転換は難しくなる。また利用客であるが、ラッシュ時はともかく昼間の利用客を考えれば地下鉄12号線と常磐新線はいい勝負だろう。沿線人口は12号線の方が多いと言える。そうすると地下鉄12号線の初乗り1000円が採算ラインとすれば常磐新線は900円以上となり、200円で莫大な負債を子孫に残すことになる。今こそ勇気を持って中止すべきである。因みに悪名高い東葉高速鉄道は1km当たりの建設費は185億から190億円と推察され、常磐新線の秋葉原―守谷間より安いと思われる。

(文責 三田村元孝)

編集後記

この号は第6回全国神奈川大会の特集版みたいになってしまった。しかし、それだけ市民オンブズマン活動が盛んとなり、大きな意義を持った証拠かも知れない。国も情報公開法を作らざるを得ぬ時代となって来た、と言う事だろう。いずれ、このような活動が今大会宣言にあるように、裁判所が持つ筈の理性を呼び覚ます事になる筈である。

 

柏市民オンブズマン通信



第 6 号

            1999年(平成11年)6月21日



柏市公文書公開条例の見直しにオンブズマン統一意見書を提出


柏市は公文書公開条例(1998年〔平成元年〕10月1日施行)の見直しを決め、市長から諮問を受けた(1998年〔平成元年〕12月18日)柏市公文書公開審査会が答申のための審議をしています。その中途段階として中間報告がされ、去る5月15日(土)にはアミュゼ柏にて意見聴取を行う「公文書公開制度の見直しに係る公聴会」が開催されました。柏市民オンブズマン連絡会議にも1時間の割り当てがあり、4名の会員が出席して意見陳述を行いました。

5月22日(土)の例会にて公開制度の重要性に鑑み、柏市民オンブズマン連絡会議としての「統一意見書」を提出する事を決定し、28日に柏市公文書公開審議会宛に下記の意見書を提出いたしました。


公文書公開制度改定に関する意見書
柏市民オンブズマン連絡会議の統一見解として、見直しの提言を提出いたします。
公文書公開条例のタイトルを「柏市情報公開条例」に改める。
柏市の理念を明らかにするため、前文を設ける。北海道ニセコ町の「ニセコ町情報公開条例」を参考にする。
第1条の目的に「市民の知る権利」を明記し、市民の市政への参加と監視の充実を期し、「説明責任」を堂々と明記する。
第2条の(1)実施機関に、柏市議会、外郭団体、公社・協議会、補助金支給団体、出資先団体を追加する。地方公共団体は議会の公開性を高めるため、本議会に加え委員会やその審議記録の公開を一層高め、議会関係の事務についても条例の実施機関に含める。

市議会情報公開につき議会内に審査会を設置する議論もあるが、市レベルでは不要。

2条の(2)請求対象を「文書」ではなく「情報」とし、「電子計算機による処理に使用される磁気テープ、磁気ディスク、その他一定の事項を記載しておく事の出来るこれらに類する物を言う。」を追加する。そして「決済・供覧等の手続き」を削除し、「組織共用文書全般」「条例施行日前の文書」「未決済・意志形成段階・計画段階情報」等の市民の将来への参加の為の情報の公開を明記する。

2条に(3)を追加する。この条例に於いて、「公開」とは「実施機関が情報を閲覧または視聴に供し、若しくは情報の写しを交付する事」を言う。

第5条は以下の条文に改める。「何人も実施機関に対し、情報の公開を請求する権利を有する。」
第10条の非公開規定は全面的に見直す。特に10条(4)エ・オは廃止する。
7-1 非公開情報とは個人の思想・宗教・身体的特徴・健康状態・家族構成・学歴・職歴・出身・住所・所属団体・財産・所得等に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)であって、個人が特定され得るものの内、「通常他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの」と明記する。
7-2 自己情報の本人開示および訂正。自己に関する情報について「本人または本人の法定代理人から開示の請求があった場合は開示する。自己情報に誤りがある時はその訂正を請求する事が出来る。」を追加する。
7-3 公務員の職務上の行為については、個人情報から除外し公開の対象とする。
(部分公開)第11条は最大の問題点である。審査会の存在を問われるポイントである。削除を期す。
(不服申し立て)情報公開審査会は審査を求められた翌日から起算して「90日以内」に審査結果を報告する。現在は1年から1年半もかかり、忘れた頃になるのは許されるものではない。
10 情報公開審査会の権限をボォーンインデックス類似手続きやインカメラ手続きまで行うことの出来るよう強化・明確化する。情報公開審査会が情報対象の文書の提示を求めた時は、実施機関はこれを拒否する事が出来ない事も明示する。

情報公開審査会委員の人気は2期4年とし、再任せずに辞任すること。後任は市民から最小限2名は公募で決める。

11 情報公開条例の見直しは2年毎に実施する。市民の要望および情報公開の最新判例に基づき見直し作業を行う。その建議・諮問機関として「情報公開審議会」を設置すること。審議会委員も公募する。この条文を明記しないと、今回の様にまた10年間放置される。
12 「グローマー拒否」は、国や県レベルの防衛庁・外交関連・公安委員会等が対象であり、市レベルでは不要である。個人の非公開規定で目的を達する事が可能である。
13 裁量的公開は規定しない。非開示理由を厳格にやればその必要は全くない。逆に裁量的非公開に悪用されかねない。
14 文書・情報管理基準の条例を別に制定する。情報の授受・分類・作成・決済・供覧保管および破棄に関する基本的規定を明記し、「文書・情報不存在」を理由とする公開拒否の濫用を防止する。この事は、説明責任を果たして行く上で、極めて重要である。1年経過した情報は情報管理室にて管理される。インターネットでアクセス可能にする。議会に関する情報も同じ扱いとする。
15 請求手続きは郵送による請求と郵送による送付は必要である。土曜・日曜が休日では、勤め人には情報公開請求はできない。可能な限りファクシミリ・電子メール等による請求を認めること。

公開請求は近隣センター・公民館の窓口でも受け付けること。

16 決定手続き。実施機関は請求を受けた日から14日以内に情報を公開するか否かについて決定し、その内容を書面により通知する。このばあい、情報の全部または一部を公開しない旨の決定である時は、公開できない「具体的な」理由と不服申し立てが出来ない事を併せて記載する。

「延長」は認めない。および議会閉会中は決定できないとの理由で延長しない。

17 大量請求・権利濫用、制度の適正利用に関する規定は設けない。
18 手数料・閲覧手数料は徴収しない。コピー料金はA4版一枚単価を原価に近づけ5円とする。
19 条例は分かり易い文書にする。曖昧な表現を避け、官庁用語を止め、主語・述語をハッキリさせ、出来るだけ短文で表現する。
20 公開審査会において不服申し立ての際は、請求人および補佐人は各委員および実施機関に対して質疑ができ答弁を求める事が出来るものとし、委員および実施機関は答弁に対する責任を負うこと。
21 実施機関は報道機関への情報提供および自主的広報の充実に努める。

柏市民オンブマン連絡会議
前代表 村上隆久

市政調査研究費の支出明細(領収書等)の非公開決定に対し不服申し立て


1999年(平成11年)2月3日に再度の市政調査研究費の支出明細(領収書等)の公開を弊委員の信太忠二氏が求めたところ、市長は「不存在(管理していない。)」を理由として非公開決定の通知を1999年(平成11年)2月16日にて送付して来た。

「不存在(管理していない。)」の理由は柏市補助金等交付規則および柏市議会市政調査研究費交付要綱にて実施機関である柏市は議会各派から領収書等を徴さなければならないものとされていない。従って、規則上および要綱上領収書等を管理すべき事とされていない。更に、「現に領収書等を管理(保管または保存)していない。」と言うものである。

これに対する柏市公文書公開審査会への不服申し立ての意見陳述が1999年(平成11年)5月28日に市役所にて開催された。不服申し立て人の信太忠二氏の他、補佐人4名が出席して各々の意見を陳述した。


不服申し立ての要旨
柏市長は議決機関および執行機関にかかる全体の予算・決算の編成権・予算の執行権を持ち、また議会事務局長および職員を補助執行させる権限を持っている。
現に議会事務局庶務課長が「本件補助金の支出の根拠となる領収書等は各派代表が議会事務局に持参し、それらの整理の際には庶務課等は手伝う事がしばしばある。それらの領収書等は議会事務局にある。」と述べている。
市長の権限に属する事務補助者の出納処理を経過し、その管理化で保管されている領収書等は公文書であるのに、市長がちょくせつ徴収する規定も権限も無い事情の下で集約されたものである事を以って、市長の「埒外」のものとする事は納得出来るものではない。
本件補助金が要綱にて規定されている通り使用されているか否かの検討を行う職務はどこなのか。議会に席を置く方々は「善行な」人達なのだから不必要なのか。

履行状況を知る為には領収書等は欠かせない。「客観的な根拠・判断資料」である筈であり、当然に市長の権限に属する事務補助者である出納責任者「議会事務局庶務課長等」の検討を経ているものと考えられるが、如何なものか。

よもや市長は議会機関を「治外法権・聖域化」するなど特別扱いしてはいないか。

以上の理由により、これらの領収書等は本来的には前回審査会の答申を受けた段階で提出されるべき公文書であったものが為されず、今回「再請求」したものである。
編集部

第2次柏市議海外視察旅行裁判報告
被告ら代理人・内藤義憲弁護士が辞任する!

当オンブズマン連絡会議は、1997年(平成9年)に実施された市議員の海外視察旅行が不当・違法な旅行であるとして、参加した議員ならびに議長・議会事務局長等を被告にして損害賠償・不当利益返還の住民訴訟を行っている。

そして第1回の法廷にて被告ら7名の代理人として柏市の顧問弁護氏である内藤義憲氏が選任されている事を知り、それについて問題提起を行ってきた。

その後2回に亙り上申書を裁判書に提出して、その倫理性を問い続けた。即ち、被告らの訴訟代理人が柏市の顧問弁護士かいずれか一方を選択すべきであると(詳細は当通信の第3号「第2次海外視察旅行に於ける訴訟代理人の問題について」を参照)。

2回目の上申書を提出した時には、我々原告らの主張を裏付ける論文(日本弁護士連合会の機関紙「自由と正義」1998年2月号に掲載された「地方公共団体の顧問弁護士と代位訴訟の被告代理人」―日本弁護士連合会調査室―)のコピーを添付する。

その結果、内藤義憲・弁護士は被告らの訴訟代理人の辞任届けを1999年(平成11年)3月18日付けにて千葉地方裁判所に提出、辞任された。

後任は、東京弁護士会所属の児玉隆晴・弁護士が委任された。

編集部

全国市民オンブズマン神奈川大会へのご案内

第6回全国大会が下記の通り開催されます。なお大会への参加申し込みは既に締め切られておりますが、資料のみご希望の方は参加費と同じ金額を「かながわ市民オンブズマン」事務局(〒231-0012 横浜市中区相生町1-18 光南ビル5階)まで御送金くだされば郵送するとの事です。

テーマ こんなにあるじゃん、税金のムダ遣い!
日時
7/31(土) 全体会議 1:00-3:00pm
  分科会 3:15-6:15pm
  懇親会 6:45-9:30pm
8/01(日) 分科会 9:00-12:00am
  全体会議 1:00-2:30pm
会場
全体会議 横浜市教育会大ホール
  横浜市西区紅葉ヶ丘53
℡045-231-0960
分科会
・懇親会
ホテル横浜開洋亭
  横浜市西区宮崎町58-1
℡045-243-1122
JR京浜東北線 桜木町駅 徒歩8分
参加費
両日参加 5000円
1分科会参加 3000円
懇親会費 6000円
分科会テーマ
7月31日(土)
塩漬け土地を洗う
これでいいのか住民監査制度
議会は未だ眠っている
5倍ムダな下水道工事!?
―合併浄化槽と比較する―
使っています!情報公開(教育・環境)
8月1日(日)
第3セクター点検マニュアル
入札・契約制度の改善で談合追放!
自分で出来る情報公開訴訟
何処の町にもオンブズマン
こんなにあるじゃん、ムダ公共事業

柏市民オンブズマン連絡会議の会員に成りませんか!

柏市民オンブズマンでは現在、1996・1997年度(平成8・9)の市議による海外視察旅行を違法・不当な旅行として住民訴訟を行う他、議会の市政調査研究費の公開不服申し立て、市長・議長による交際費の公開、教育委員会による海外研修派遣の公開請求および全国オンブズマンの公開度ランキング調査への協力等を手掛けています。この他、福祉・介護・談合・入札・環境問題等いろいろ取り組みたい問題が山積していますが、人員不足や財政基盤等の問題から未だスタートも切れていません。ぜひ興味や能力のある方々のご入会・協力をお願いすると共にご案内申し上げます。詳細は事務局までお問い合わせ下さい。

編集後記

早くも第6号を発行する事になりました。この号は情報公開への統一意見書の発表が半分の2ページを占めて仕舞いましたが、それだけ重要な問題と考えました。

こんご市民が市政に対して自主的にどこまで知り参加できるかはこの改正次第です。皆で見守りましょう。

(文責 三田村)

 

柏市民オンブズマン通信 #5



第5号・前半

 

1999年(平成11年)3月1日



-柏市民オンブズマン連絡会議 平成11年度運営方針-

1999年(平成11年)1月

-運営に当たっての基本的な考え方-

我々市民オンブズマン連絡会議は、上部組織である全国市民オンブズマン連絡会議をはじめ全国各地のオンブズマン組織とも日常活動に於いて有機的な連絡を保ちつつ、引き続き活発な活動を展開していくものとする。

運営組織に当たっては、お互い次の点を心がけ、本年度の活動を行う事とする。

  1. 市民みんなの代理人である-公的な組織として発展させていく
  2. 弱者の立場の代理人-困っている人の立場を理解し代弁する
  3. 公平な立場の調査-調査・情報収集は客観的な観点で行う
  4. 判断は制度や法を基準に-問題提起をする際に視点を明確にする
  5. 活動の独立性を-他団体に参加し連帯しても組織の独立性は保つ
  6. 各自が活動、行動を-自ら出向いて現場を確認、主体的な活動をする
  7. 必ず報告を-組織としての活動はお互いに必ず報告する

-本年度とくに重点を置く課題-

  1. 専門部会の設置及び活動の多様化について

    懸案となっていた専門部会を下記の通り設置し、それぞれ部会のメンバーおよび体制が整ったところから具体的な活動を開始する事とする。

    1. 広報部会
    2. 住民訴訟部会
    3. 情報公開対策部会
    4. 地域開発部会
    5. 教育文化部会
    6. 環境部会
    7. 医療・福祉部会
    8. 交通問題部会
    9. 公共事業部会
  2. 事務局体制の拡充強化
  3. 広報活動の積極的展開について
  4. 各種住民運動との連携について
  5. 全国オンブズマンおよび各地オンブズマン組織との連携、活動・情報交換等の活発化
  6. 市当局および労働組合組織等との協議場の設置の具体化について
  7. 財政基盤の拡充・強化対策について
  8. 会員拡大の取り組みについて
  9. 幹事会・役員体制の強化について
(文責 村上隆久)

県・市議会議員の親善野球大会について

1.始めに

古今東西、役人に賄賂・袖の下は今に始まったことではないが、近年我が国でも司直(しちょく:裁判官や検事のこと)による摘発に加えて地方自治体の官官接待や食料費等の実態が明るみに出て世の批判の的となっている。

いっぽう地方議会に於いても、議員の研究目的に名を借りた“物見遊山・観光旅行”ぶりがメディアにも取り上げられていると同時に、議員同士の親善ゴルフ・野球大会にも公費が使われ県・市職員までが動員されている実態が明らかにされて来ている。

ここでは表題に示す如く、親善野球大会に絞って論述する。尚このテーマは全国オンブズマン会議でも取り上げられているのでいずれ全貌が明らかになるが、それまでの不充分な紹介になることを御容赦ねがいたい。


2.全国での実施状況(千葉県は次項で詳述)

95年より99年10月現在に至る期間に絞って議員の親善野球大会に関する新聞記事を日経テレコムで検索したところ、以下のことが判った。

(1) 親善野球大会は県・市議会議員で

市議会議員の大会は県内ベースだが、県会議員は全国ベースの他に九州大会の様に地区ベースでも行われ、いずれも年に1回実施されている。殆どの議会が開催地へ集まる場合、「公務出張」扱いで議員を参加させており、また大会運営費はいずれも当番県・市が主体に負担し職員を動員していることが分かった。

(2) 上記に対し公費返還訴訟が2件

  • 県会議員等相手に「秋田県生活と健康を守る会」が97年11月に。
  • 市会議員については「市民オンブズマン館山行政監視局」(千葉県)が市長等を相手に98年7月に起こされている。

(3) 新聞記事の検索結果(時系列にまとめ)

自治体 出 所 概 要
大阪市 毎日新聞
(95/9/7)
“批判のなか開催、府市議団親善野球”阪神大震災を理由に開催に批判が出ていた府市議団親善野球大会が、6日吹田市の万博公園で開かれた。同大会には府内でも北摂を中心に5自治体で災害救助法が適応されているのに、職員を巻き込んでの平日開催は問題で非常識などの批判が出ていた。
長野県 毎日新聞
(96/8/26)
“公費負担を軽減、大会は簡素に”多額な公費負担の見直し議論が起きている県内17市の職員野球大会が、25日飯山市で始まった。参加分担金を全額職員の個人負担とすることを決めた96年1月の県・市議会議長会の申し合わせいらい初めての大会。開会式の打ち上げ花火やブラスバンド演奏、プラカード行進は今回から取り止めになったが、26日までの大会期間中に同市職員が延べ150人も駆り出される予定だ。
福岡県 朝日新聞
(97/8/4)
“福岡県が補助金200万円”ゴルフで汗を流し、野球で親睦を深める。年に一度は全国大会や九州大会があり、「お世話係」の議会事務局職員を引き連れて出掛けて行く・・・。そんな福岡県議のサークル活動(福岡県スポーツ議員連盟)に県が年間200万円の補助金を出していることが分かった。97年度に計画されているのは①九州各県議会親善野球大会(大分)②全国都道府県議会議員軟式野球大会(大阪)③九州各県議会議員親善ゴルフ大会(沖縄)と「身内」のスポーツ大会。支出では全国と九州の野球大会に計220万円、ゴルフ大会に50万円が計上され、旅費などに充てると言う(公務出張扱い)。
秋田県 毎日新聞
(97/11/18)
“秋田で公費返還訴訟”-県議相手は全国初-。他県の県議達と親善野球交流の為に公金を支出するのは違法として「秋田県生活と健康を守る会連合会」が、参加した秋田県議21人と同行の県議会事務局等県職員12人に旅費など約487万円の返還を求める住民訴訟を秋田地方裁判所に起こした(同会によると公費返還訴訟で県議を訴えるのは全国で初めて)。
静岡市 朝日新聞
(97/12/23)
“懇談相手先などを非公開、審議会の答申通りの静岡市長交際費”静岡市が支出した96年4・5月分の小嶋市長の交際費77件(計約148万円)について、市民団体がその相手先や目的などを公開するよう求めたところ、内51件について公開した。公開された中には市議の親善野球大会への祝儀(5万円)などがあった。


3.千葉県での実地状況:毎日新聞(1998年4月9日)

(1)

市議会議員親善野球大会は今年45回を迎える恒例行事。県内4ブロック(衆議院選挙区)に分けて予選を行い、準決勝・決勝は県市議会会長市(今年度は船橋市の予定)で開催する。また予選各ブロックは当番市を決め大会を運営、平日に行われ市職員が動員される。

(2) ブロック別実施状況

当番市 公費計上と職員動員状況
市原市 運営費、交付金、参加費:計25万円
銚子市 運営費、交付金、参加費:計約37万円。大会前にグランド整備に職員を頼むかもしれないと話している。
鴨川市 運営費、交付金、参加費:計約60万円。職員を投入し、高校野球の予選大会程度の運営を目指すと「議会から不満の出ない大会」を明言。
浦安市 大会運営費に60万円を予算計上。この他に県市議会議長会からの交付金10万円(県31市の負担金から拠出)と各市の参加費(3万円×参加団体数)も見込んでおり、総額は90万円を超える。
これまで参加した事が無く、今回も不参加にも拘わらず、カネと人を出す浦安職員の中からは「順番制なのでウチだけがやらない訳にはいかない」と、出来れば中止したいと本音を覗かせる声も出ている。

準決勝:県市議会議長会交付金で37万円
決 勝:不足分は同会長市が負担する


4.柏市の取り組み方(議会事務局より聴取)

柏市民オンブズマンのメンバーである市議会員に紹介されてヒアリングしたところ(98年10月28日)、以下の事が分かった。

柏市の出場状況 原則として毎回参加するが、昭和45年以降じゃっかん途絶えた時もある。成績は今一つで優勝等の実績は無い。
第4ブロックのメンバー 柏、野田、我孫子、鎌ヶ谷、松戸、流山、市川、浦安市の8市
柏チームの構成 柏市会議員の内、正会員は20名で残りは賛助会員である。会費は正会員で2000円/月、賛助会員で1000円/月を徴収している。
柏市の費用負担 参加負担金として3万円(平成9年度)だが、平成10年度は中止になったので支出はしていない。なお参加負担金については、今後柏市より受けない事になった、とのこと。
議会事務局職員の動員 ボランティアで(個人の)協力する(過去は兎も角これからは、と言う意味らしい)。


5.所感

(1) 地方議員の意識について

“そもそも選良たる議員のあり方、使命とは”などと大上段に構えるつもりは無いが、いったん選挙と言う関門を通ってしまうと“君子豹変”してしまう。やれ研修だ、親善だとの名目を付けて公費(税金)で遊んでやろう、と言う魂胆が見え見えだ。その現れが、研修に名を借りた国内外の観光旅行・親善目的と言うゴルフ大会、野球大会ではなかろうか。真に研修・親善が必要なら自腹を切ってでも実行したら良いのであって、公費を使って、そのうえ県・市職員までも動員することはもっての外と言わざるを得ない(何の為に県・市政調査研究費を貰っているのか)。

(2) 議員の意識改革は市民の声で

前項に対し、議員自身による意識改革が全く見られない訳ではない。例えば長野県市議会議長会の参加分担金の金額を議員の個人負担とする取り決めや、柏市の市の分担金は要求しない、職員の動員は個人ベースのボランティアでする等がある。しかし、大勢は黙っていれば得意の“前例に従う”ことは充分に予想される。従って、ここに於いてオンブズマン等の「市民の声」、即ち「監査・公費返還請求」等の具体的行動がより一層必要となってくるのではないかと思われる。

(3) 今後について

  • 先ず全国オンブズマンにより全貌が明らかになった時点での指示・方針を待つ予定。
  • 柏市を含む第4ブロックの動向は、今後ともウォッチした上で対処したい。
  • 問題は県会議員の親善野球大会で、公費支出額も市会議員のそれと比較して大掛かりで“質(たち)”が悪い。

千葉県の現状を調査した上で、状況によっては、県オンブズマンの監査・返還請求などの具体的アクションが望まれる。

(文責  岡田 健)


-全国市民オンブズマン連絡会議より-

全国市民オンブズマン連絡会議からの発表によれば、千葉県の都道府県議軟式野球大会への参加に於いて、その費用負担は【議員-本人負担、職員分-公費】となっている。しかし、野球大会は明らかに公務とは考えられないので、職員の随行は止めるべきだろう。どうしても職員を随行したいのなら、職員分も議員負担として戴きたい。現に県議・職員とも議員負担としている所もある。見習うべきであろう。

柏市も市議員の野球大会は議員の個人負担、職員はボランティアなどと、恰好良いことを言っているが、議員の海外研修視察と同様に東葛都市議会連絡協議会の事業の一つとして議員親善スポーツ大会を掲げており、野球はおろかゴルフ大会もいつ公費にて行うか知れたものではない。今後とも見守りたい。

(編集部)

柏市民オンブズマン通信 #5



第5号・後半

1999年(平成11年)3月1日


常磐新線(つくばエクスプレス)の問題点を追ってみる!


昨年(1998年)12月議会の常磐新線特別委員会に於いて、第3セクターと称している首都圏新都市鉄道㈱に民間出資が行われる、との説明が市当局からあった。北部整備部の提出した書類によると、出資者は186団体、株式発行数14万9080株、金額74億5400万円となっており、株式の割り当て先の名称が一覧表に記載されていた。この鉄道会社は7年間民間投資のない第3セクターとして追及されてきたので、発表する市側も多少誇らしげであったが、委員会のある委員から割り当て先の名称の中に、日本長期信用銀行および日本国土開発㈱の名があることが指摘され、潰れた会社がどうして出資できるのか、と追及された時の市側の慌て振りは噴飯ものであった。鉄道会社からの連絡資料を鵜呑みにして、殆どチェックせず、そのまま資料にしたものと思われる。しかし、この2社をも除いても184団体にものぼり、発行株式は14万5480株、金額72億7400万円になる。

本広報誌第3号にても触れたが、鉄道会社は昨年民間からの投資の見通しがついたと発表しており、その規模は100社以上から200億円程度とし、それもこの不況のため分割の払い込みになるとのことであった。それからすると、投資会社数は多少減るかもしれないが、ほぼこの程度の規模の投資が3回にわたって行われると推定される。そこで約180社から220億円程度の出資があると考えた場合、平均1社当たり約1億2000万円の出資である。それに対して、建設費総額は約1兆500億円であるから、この出資団体に何らか受注があるとすれば(金融機関、流通機関等は建設には直接関係ないので実際の受注団体はこれより少なくなると思われる)、1社当たり約58億3000万円の平均受注額が見込まれることになる。これは受注金額に対する出資金の比率が約2%であり(受注金額はもっと多くなり、出資金の比率は1%台であろう)、全く交通費程度のものである。言い方を変えるのなら、この程度の出費で多額の受注があるなら、民間会社としては出した方が得だと言うことになる。この資料によれば、最高出資会社が2000株即ち1億円であり、3回出すとすれば3億円の出資である。これらの会社は今後150億円から300億円の受注が見込める訳である。もし、この受注金額が何らかの保証があったとすると、これは大変な問題である。まさに談合に他ならない。

それでは、全く保証が無い、としたらこれも大問題であろう。何故なら常磐新線の収益見通しとして、開業後29年目にして累積資金不足が解消されるとしている。即ち黒字になるのは30年後と考えなければならない。それも、幾つもの前提(利用客数、4年毎に運賃の10%値上げ等)をクリアーしての話である。鉄道の施設の寿命は約40年と言われているから、これを本当でもし一つ前提が狂ったら「永遠に配当が無い」と言う事もあり得る。配当があるとしても29年以上もの後のことである。このような利益の無い、下手をすると損失になりかねない事業に何の見かえりも保証が無く、民間の利益追及団体が出資するとしたら、経営役員の背任行為になりかねない。少なくとも、それが株式会社なら総会で問題となるであろうし、場合によっては株式代表訴訟ものである。

近年は、長引く不況のため各企業は経営も苦しく大きな赤字出している所もあり、金融機関では税金の投入を受けている所さえある。それが30年の間もお金を寝かせておくなどとは株主への背信行為としか言いようがない。

もしそうでないとすると、この出資には何らかの利益保証があると考えざるを得ない。すると、これは明らかに談合となる。このように、この鉄道会社への出資は民間企業としてはどちらに転んでも経営者に損は有っても得は無い。この投資に利益が有るとするなら、今まで7年間もなぜ投資しなかったのか?しかも、その出資者の大部分が常磐新線プロジェクト推進協議会のメンバーである。出資の要請は既に受けていた筈である(このような不明朗な投資こそ総会屋の恰好な攻撃目標ともなる)。

次の問題点としては、本広報誌第3号にても触れたが、建設費の中にある自主財源190億円である。自主財源と言うからには、我々市民の常識として、鉄道会社自体が金融機関等から調達するかあるいは会社役員が調達し出資するもの、と思って仕舞う。しかし、これは全くの間違いであることが分かった。会社の説明によれば「190億円は会社が調達する資金であるが、その財源の一つは地方自治体の出資金を計画的に早く出してもらい、それを必要とする時までその資金の運用益をあてる。ただ最近の金利安のため100億円程度しか見込めない。そのため工事に新技術等を導入して費用の更なる圧縮を図る。」と言うことである。

ここに至っては完全なまやかしであろう。総出資金1633億円(千葉県負担金は約327億円、その内柏市は98億円を負担)を1999年度(平成11年)までに殆ど入金してもらい、それを運用して利息を稼ぎ、その利息を自主財源と称していることになる。出資している自治体は殆どが公債を発行して資金調達をしている。柏市も年2.1%の利息の付く市債を発行して、資金調達しているようである。そしてその市債の利息も税金で支払われる。すると我々が汗を流して働いて支払う税金が、形を変えて鉄道会社の自主財源となっていることになる。これは明らかに自主財源ではなく、これも地方自治体の出資金とするべきものであろう。

ここで最も注目するべきことは、これにより自治体へ融資する金融機関が利益を得る、と言うことである。今までの第3セクターではそれに直接貸し付けて利益を得ていたが、首都圏新都市鉄道㈱の場合は自治体を通して間接的に貸しつけ利益を得ていることである。そして1633億円近い多額のお金の運営を委託される金融機関(銀行であれ生保であれ)は、これまた莫大な利益を得ることが出来る。形を変えても僅かな出資金で大きな利益を金融機関やゼネコン、メーカーが得ると言う第3セクターの図式は全く変わりないと言える。

文責 三田村

本多さん、お金の決裁は支出と領収書で「対」のはず

-市議会調査研究費の使用明細の行方は-

今、柏市の市長部会と市議会、各会派との関係が大変「おも白い」。

私は一昨年の暮れ、柏市民オンブズマンの例会で確認を受け、柏市が市議会の各会派に交付している調査研究費の公開を求めるため、柏市公文書公開条例に基づいて、市議会調査研究費の支出に関する一切の資料(1994年~1997年に至る)を請求した。

そして、昨年(1998年)3月に“部分公開通知書”が送付されて来たので出向いたところ、市議会議員5会派(研究費交付要件は2名以上で会派構成の場合)に年間2000万円余(議員1名当たり月額5万円)を支出した事の書類のコピーのみ示された。

全く受け取っていない議員は僅か1名のみである。

私が求めているのは(たぶん多くの市民も)市民の納めた税金が、市政執行上の財政となり支出されている以上、執行責任者である市長は「支出報告のみでなく、交付先の各会派がどのような使い方をしたのか、その支払い先の明細・領収書等の証拠書類を」有している筈で、その「本文か写し」なのである。

部分公開の処分理由について市長は
柏市公文書公開条例第10条第4号オに該当、議会の依頼に基づいて支出した財務の執行に関する情報であり、公開することにより議会との信頼関係が損なわれ、当該事務の円滑な執行に著しい支障が生じるおそれのあるため
と言うことである。
私は直ちに異議の申し立てをしたところ、昨年6月関係審査会が開かれたので、オンブズマンのメンバー共々、大略、交付した研究費は「公金」であり、使用対象も「要綱上」特定しているのに

なぜ関係資料を市民に公開すると議会と市政執行機関との信頼関係が損なわれるのか、
なぜ市政執行上の事務に著しい支障が生じるのか、
いずれもその理由と内実を誰にでも理解できるように、個別・具体的に説明して欲しい、
本件公文書は関係条例・第10条第4号オに規定する文書ではないのに、当該条文をもっての部分公開の処分は誤り、取り消すべきものである。
との主張をした。
新議会は私の主張を認め、特に「市において、財政会計の適正を確保するための手続き内容は執行機関と議決機関とでは違いが無く、本件公文書について執行機関作成の同種の文書と異なる取り扱いをすべき理由はないものである」として請求人になした部分公開の取り消しの答申を市長にした。

市長はこれを受けて、請求人の私に昨年の暮れの24日、取り消す旨の通知を寄せてきた。

この答申は私達には当たり前の事ではあるものの、市長にとっては「その思惑」を超えたものであり、伝統的に保持して来た「拒絶論理の見事な崩壊を迫られた」内容ではなかっただろうか。

ところがである。

市長が請求人に全面公開として示したのは、各会派が使用種類毎の金額を総まとめにした、手書きのメモ調の、しかもどれも同一人の筆跡と見てよいもので、交付金の使用先は依然として不明なのである。

実は、なんとそこには「もっともらしいカラクリ」があったのである。

情報公開担当は「請求人の求めている領収書書類は市長部局には存在せず、どこに有るのか無いのかは分からない」とのこと。
財政部の職員は「調査研究費は支出要件が整えられれば支出するもので、使用先に及んでまでは追及せず、職務範囲外」のこと。
そこで登場したのが議会事務局担当。曰く、「各会派は各年度末に調査研究費を使用した際の領収書等を添えて報告書とし、代表者が議長に届け市長に届く仕組みで、当該事務局職員はその『整理のお手伝い』をした」とのこと。
「監査の際は」と聞いたところ、やはり「会派毎の手書きメモで済んでいる」とのこと。

つまり、市長は議会・会派と「うまく済ましたい」ために議会・会派に交付した調査研究費の「行方」を特別扱いし目を及ぼす事を避けてきた、と指摘せざるを得ないのである。

広報「かしわ」での監査結果の公表に際して欠かすことのない「概ね適正と認められた」との記載もあながち無意味な表現ではないことも分かった。

私は2月3日、調査費の使用明細・証拠書類は「執行機関作成の同種の文書と異なる取り扱いをすべき理由は無いものである」との審査会の答申に則り再度の公開請求をしたところである。
(文責  信太忠二)


解説

柏市公文書公開条例(平成元年3月29日公布)の第10条(4)を参考までに次に掲げておきます。

第10条 実施機関は、次の各号の一に該当する情報が記載されている公文書については、公開しないことができる。
(4)市政執行に関する情報であって、次に掲げるもの
公開することにより人の生命、身体、財産及び社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を生じるおそれがある情報
本市の機関内部若しくは機関相互間又は本市の機関と国、他の地方公共団体又はその他の公共機関(以下「国等」という。)の機関との間における審議、検討等の意思決定過程における情報であって、公開することにより適正な意思決定に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの
本市の機関と国等の機関との間における協議、依頼等に基づいて作成し、又は取得した情報であって、公開することにより国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるもの
合議制の実施機関、審議会、審査会、協議会、懇話会等の会議に係る資料会議録等の情報であって、公開することにより議事の公正又は円滑な運営を著しく損なうおそれのあるもの
監査、検査、、徴税、交渉、争訴、入札、試験その他実施機関が行う事務又は事業に関する情報であって、公開することにより当該事務又は事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生じるおそれのあるもの

即ち、市長はこの第10条(4)オの項に該当するとして当初(公開しないことができる文書として)非公開としたのである。

また不服申し立てに対しては

第12条 実施機関は、第7条第1項の規定による決定について行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づく不服申し立てがあった場合は、次に掲げる場合を除き、次条に規定する柏市公文書公開審査会(以下「審査会」という。)に諮問し、その答申を尊重して当該不服申し立てに関する決定等を行うものとする。
(1)不服申し立てを却下する場合
(2)不服申し立てに係る公文書を公開しない旨の決定を取り消す場合
とあります。
(編集部)

=市民オンブズ時事川柳=

  北部開発
 ・「8割の賛成」マジック種が透け
 ・ゼネコンが栄えて「*盆綱」引きちぎれ

*民族文化財

  ○○委員会
 ・36分 使わぬ委員の不公平
 ・ウオッチに副委員長踊らされ

(芳井)

  訪問のついでにシスコに一泊
 ・税金を盗(と)る旅行でもトランス

  市立幼稚園廃園
 ・公立(効率)が悪しとリストラ幼稚園

  千葉地裁で
 ・二重円あとからボロ出す環境部
   (ボロはキチンと指定日に出せよ)

(三田村)

皆様のご投稿をお待ちしております。上手か下手かは判りません。思ったことを詠み込んでみて下さい。



東京オンブズマンよりお知らせ

-全国大会の開催-

1999年の全国オンブズマン連絡会議全国大会が横浜で開催されることが決まりました。

現在のところ大略下記のことが判明しています。詳細に就いては、至急につめて4月には案内状を出したい、としていますので、その時に今一度ご連絡します。前回の開催地は大阪と、遠隔地のため参加できなかった人が多いと思いますが、今度は比較的近くでの開催ですので是非会員各位のご参加をお願い致します。今大会は全体会を上回る500人以上の動員を計画しています。

期 日 7月31日(土)午後1:00より
8月 1日(日)午前9:00より
場 所 全体会 横浜市西区花咲町3丁目
(財)横浜市教育会館
  分科会 伊勢山皇大神宮第2記念館
ホテル横浜開洋亭
参加費 5000円

なお8月1日の夕の懇親パーティーに出席する場合は、別途費用6000円(予定)が必要です。また宿泊する時はご相談下さいとのことです。

今大会では前大阪大会の分科会のテーマ(情報公開、地域オンブズマン活動等の4テーマ)に加えて、①第三セクターの問題、②自治体の塩漬保有地の調査、③壮大な無駄な公共投資などのテーマが取り上げられる予定とのことです。柏市民オンブズマン連絡会議としてもぜひ常磐新線、北部開発の問題をよく論議して、提起していきたいと考えております。

ご意見、興味をお持ちの方は例会に御出席ください。例会の日時は事務局までお問い合わせ下さるようお願い致します。

裁判費用カンパのお願い

柏市民オンブズマン連絡会議は、平成8年度および9年度の市議会議員の海外視察旅行を違法・不当の旅行として法廷闘争をしております。弁護士も置かず個人訴訟で頑張っておりますが、台所は苦しい状態です。財政基盤の強化のためにも是非皆様のご協力をお願い致します。

編集後記

この号の作成はいつもより気楽にできたような気がする。「平成11年度運営方針」と何と言っても議員の野球大会への力作とも言うべき原稿が揃っていたことが安心の最大理由と思います。

本年も頑張って昨年と同様年4回の発行は守りたいと考えていますが、これも原稿次第。皆様のご協力をお願い致します。

(文責 三田村)

 

柏市民オンブズマン通信 #4



第 4 号

            1998年(平成10年)12月16日



行政の説明責任と文書管理責任について

今まで、南部第二清掃工場においては、柏市民オンブズとしては、公式には取り上げてこなかった。それは、弊連絡会議が未だ会員数も乏しく、財政基盤も弱く、幾つもの課題を抱える力が無い事と、問題が財務・会計上のことに絞れるとの見通しがつかなかったと言う事もある。

しかし、新聞報道や南部9団体の説明によると、事態はそんな悠長な状況ではないらしい。柏市当局が市民全員に配布し説明してきた清掃工場の候補地の選定過程においてのリーフレットに「不備があった」と言うことらしいが、これは大変おかしな言い方であり態度であろう。不備であるならば不備の所を補えば良い。不充分と言うならば説明を加えれば良い。即ち、それは今までの説明の延長線上での補充であり、説明の具体化でなければならない。しかるに、このたび発行された市の広報「かしわ」の記事「リーフレットの補足説明 第二清掃工場 用地選定事項に於ける説明の不備について」のタイトルで記載されているが「不備があった箇所はリーフレットの疑問6と疑問8の部分です。」として、疑問6にて「200メートル圏内」を「候補地内」に、「二重円の基準のうちの一つがなくなった」を「二重円の基準における課題が解消する方向に変化する」に改め、疑問8では「200メートル圏内」を「候補地内」に改めるとしているが、この様に改めた場合、このリーフレットで主張していた二重円そのものを否定することになり、もはや不備に対する補足説明ではなく、今までの主張の訂正であり、誤りの訂正であろう。どう読んでも従来の主張に対する補足説明とは考えられぬ。

市は市民に対して行政の在り方・目的・内容を正しくしかも分かり易く伝える責任がある。それは医者に対して治療の正しい説明と同意、即ちインフォームドコンセントが求められている様に、行政は説明責任(アカンタビリティー)がある。しかし、この広報の記事を補足説明としては、市民には全くその内容・意味が伝わるまい。まさに説明責任の放棄である。

そして、更にその不備を立証する書類を処分したため正確な事は分からぬと言うに至っては、もはや開いた口がふさがらぬ。市には文書管理規定が当然あろう。そこには管理責任がある筈である。もし、この様な事が許されるなら、不正あるいは行政に不利な書類はみな処分できる。この様な事態になったら公文書公開条例は全く無意味なものとなり、市民からの行政のチェックは不可能となる。この際、市当局は管理責任を明らかにし、再発する事の無いよう機構への徹底を図るべきであろう。(三田村 記)

常磐新線会社の不思議

首都圏新都市鉄道㈱の第3セクターとは何か、根源的な問題につき述べます。

通常第3セクターとは「公共団体等の公共部門と企業等の民間部門との共同組織体として理解され両者の共同出資によって設立されるもの。」と基本定義されています。
では法的根拠は何か。地方自治法244条の2第3項「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があるときは」、その管理を「普通地方公共団体が出資している団体で政令で定めるもの又は公共団体もしくは公共的団体に委託することができる。」と定めている。法律はこれだけらしい。
自治体の出資金は100%、又は50%以上、又は25%以上の比率にあるかないかで、法制的に大きな差がある。出資比率が100%であるなら、公社・公営企業であり、商法上の株式会社ではない。
柏市が「首都圏新都市鉄道㈱」なる一民間企業に投資したのは、何の法律に基づいたか。1991年(平成3年)に出資金を予算化した際、1996年(平成8年)か1997年(平成9年)に出資金の値上げがあったが、それぞれ議会の承認は得ているのか。98億円の税金だ。しかも利息が年2.1%の借金で、戻るあてなきカネだ。柏市長もいい度胸しているぜ。
第3セクターはあまりにも不明な点が多すぎます。法的に大変難しい問題を抱えています。しかし格言にある「敵を知り己を知れば百戦危うからず」で、追求に一筋の光は見えてきました。
近年3セクは経営的破綻および法的根拠の破綻に直面しています。経営破綻は、泉佐野コスモポリス、むつ小河原、千葉急行鉄道、等29法人が公表されています。法的破綻は、職員派遣の問題は裁判で、自治体側の敗訴が決定的です。出資金に関する判例も入手しました。
共同参加する民間企業は、リスクが大きければ資本投下しない。7年経過して参加ゼロとは何を意味するのか。3セクは、国の省庁幹部の天下りの受け皿となり、国も悪弊に倣い自治体幹部の特権官僚化を増進しています。退職金はホンの一例に過ぎない。
3セクで儲けるのは金融機関とゼネコンで、損失は税金で尻拭いさせられる。公社や3セクの出資法人は情報公開制度もなく、議会は出資時の予算議決権はあるが、設立後の事業計画や予算計画は首長からの報告を受けるだけで、審議や議決の権限はない。住民には監査請求と住民訴訟以外に問題点を正す手段はない。自治体の議会制民主主義や住民参加を排除し、地方自治の空洞化の根源になりつつある。早急に対策を立て、整理・廃止の方向へ向かうべきである。バブル崩壊で「住専」の二の舞になる危険性がある。
ちなみに公団・第3セクターの不良債権は数百兆円。国の借金400兆円、地方の借金160兆円、金融システムの不良債権280兆円、借金合計1千兆円(国民一人当たり1千万也)。すげ―。
(文責 小池盈久)

★海外視察旅行の第2次訴訟(その後の経過)★

第1回口頭弁論:98/7/22 501号法廷
原告:この訴訟の特殊性について述べる。
この海外視察旅行は議長らの集まりである六市協議会が企画決定し、六市の議会が相乗り参加するもので、柏市議会が独自の必要性から決めたものではなく、視察に名を借りた観光旅行であり、手続きも内容も違法不当なものである。従って、旅行費用は柏市に返還すべきである。
原告:
市民が柏市に代わって柏市のために訴訟を起こした裁判に、柏市の顧問弁護士が相手方被告の代理人になると言うのは、弁護士倫理に違反する疑いがある、との意見を述べる。
被告代理人:答弁書提出(代理人は欠席)
議長は被告になり得ないから却下せよ、と申し立てる。原告の違法不当の主張は全面的に争う。
第2回口頭弁論:98/9/30 501号法廷
原告:
被告訴訟代理人が柏市の顧問弁護士であることは弁護士倫理規定等に違反する疑いがあり辞任すべきであり、辞任しない場合は裁判所から辞任の勧告をされるようにとの上申書を朗読し提出する。
被告代理人:
顧問弁護士が顧問の立場を離れて、この事件の代理人になることは何ら問題はないとの反論を、最高裁判所の判決や千葉地裁のほか2・3の裁判例を挙げて反論、裁判長は文書で提出するように促す。(原告は次回に再反論を)
被告代理人:
行政長の訴訟参加(柏市長を被告の補助をさせるために訴訟に参加させること)の許可申立書を提出する。(原告は次回に意義の意見を)
答弁書(続):第1回の答弁書の続き(訴状の後半部分について否認し合う。また海外視察旅行が研修目的に沿って充実した内容で行われ、いかに有意義であったとか、との被告の主張を述べたもの。)原告次回に反論を。
第3回口頭弁論:98/12/2 501号法廷
被告訴訟代理人:
原告らの柏市の顧問弁護士が被告らの訴訟代理人になることは、弁護士倫理に違反する疑いありとの上申書(第2回口頭弁論で提出)に対しての訴訟代理人の意見書を提出する。
原告:顧問弁護士の問題について再反論
「顧問は顧問先のために尽力するのが常識で、顧問の肩書きを付けたまま被告の代理人になることが倫理に違反する。代理人か顧問のどちらか辞任すべき。」と反論、上申書に日本弁護士連合会調査室の論文の写しを付けて提出する。
原告:
被告の行政長(柏市長)の訴訟参加申し立てに対しては、その必要性は無く参加申し立ては棄却されるべし、との意見書を提出する。
原告:
議長は住民訴訟の被告にはならないから却下すべきと言う被告の本案前の申し立てに対して反論する。「この海外視察旅行の実施に至る過程で議長が果たした役割について、議長が責任を負わないと言うことはおかしい。被告の申し立てには理由が無い。」との書面を提出する。
原告:
第1回、第2回の口頭弁論で被告が提出した答弁書に対し、13項目の釈明要求書を提出する。
原告:
第2回口頭弁論で被告が提出した答弁書の中の被告の主張に対する反論および矛盾する主張について釈明を求める書面を提出する。
次回の口頭弁論は1999年(平成11年)2月3日(水)午後3:30より千葉地方裁判所 501号法廷(5F)にて。
都合がつく方はぜひ傍聴に御出で下さい。
(石蔵保夫記)
柏市民オンブズマンでは、訴訟勉強会をこれまで15回開きました。関心がある方はご参加ください。結構楽しくていろいろ参考になりますよ。
申し込み連絡先:前事務局長・小池盈久

=市民オンブズ時事川柳=

  • 新線が 奪う緑に 枯る柏
  • 池・緑 そこのけそこのけ 電車が通る
  • 三セクの 正体見たり 退職金
  • 市議員の お好きな金髪・視察旅行
  • 視察旅行 飲んだワインに ついウィーン
  • 発言の 時間を分に 閉じ込める
  • 柏市政 増える開発 減る福祉(でないように頼みますよ)
(三田村)
  • バブルの夢 未だに覚めぬ お役人
(石蔵)

このたび時事川柳の欄を設けてみました。上手か下手かは判りません。思ったことを詠み込んでご投稿ください。会員以外の方からも広く募集いたします。匿名希望でも結構です。ただ個人攻撃のようなものは記載しないことがありますので、予めお断りしておきます。また財政難の折から、是非ボランティアのお気持ちでお願い申し上げます。

裁判費用カンパご協力のお願いの件

柏市民オンブズマン連絡会議は、1996年(平成8年)および1997年(平成9年)度の市議員の海外視察旅行を不当・違法の旅行として、法廷闘争をしております。弁護士もおかず、個人訴訟にて頑張っておりますが、台所は苦しい状態です。皆様のご協力をお願い致します。

会員の皆様へ(会員募集中)

1月の総会を30日(土)午後6:00より豊四季台近隣センターにて開催します。役員の改選はもとより、来年の活動方針、具体的な活動方法など広く討議したいとしています。来年は特に教育関係の面にチカラを入れて行きたいとも考えておりますのでその方面に関心のある方々、特に女性の参加を歓迎いたします。オンブズマンと言うとたいへん堅苦しく聞こえますが、全員素人の集まりで、相談し勉強しながら楽しくやっております。是非お気軽にご出席くださるようご案内申し上げます。

又いろいろな専門知識をお持ちの人も、この際ぜひ御入会いただき、その専門知識を充分に発揮してご活躍ください。お待ちしております。

編集後記

この号こそ早く出そうと、少なくとも12月早々には配布するつもりでいたが、原稿が思った様に集まらず、けっきょく今日になってしまった。岡田さんから議員の野球大会においての力作を早くから戴いていましたが、記載できず次号を増ページして発表させて頂きます。悪しからず御了承ください。それにしても、1年なんか早いものだ。それでは、良いお年を!

 

柏市民オンブズマン通信



第 3 号

            1998年(平成10年)9月25日



第5回市民オンブズマン全国大会宣言


私たちは「市民オンブズマン」発祥の地であるここ大阪に全国43都道府県より400名が参集して第5回全国市民オンブズマン大会を開催しました。1994年の第1回全国大会いらい、私たちは情報公開や監査請求を用い「官官接待」「カラ出張」「裏金」など、次々と行政の不正な支出を追及していきました。そして今や「市民オンブズマン運動」は全国の市町村レベルにまで広がっています。


このような経過の中で議会の機能不全が明らかとなり、本年はその調査の第一歩として「議会の閉鎖度ランキング調査」を実施しました。その結果、殆どの都道府県では議会の扉に鍵をかけ窓にカーテンを降ろしたような状況でした。

多くの職員を従え親睦の為の野球大会や観光旅行と変わらない「海外視察」を公務と強弁し、その一方で野球大会や海外旅行の中身を市民に公開しようとしません。

議会に於ける各委員会の議事の公開は議会活動の基本であるのに、傍聴を原則許可している自治体は24都道府県にとどまり、議事録を作っても閲覧させない所が28都道府県にも及んでいます。更に、「政務調査研究費」については殆ど明らかにされていません。

私たちは、このような閉鎖的な議会に光を当て、市民に開かれた議会を作っていく必要があります。

その為には、私たち自身も議会の傍聴の機会を増やすと共に、次の事を求めていきます。

  1. 議会を情報公開条例の実施機関とすること。
  2. 市民が議会活動にアクセスできる権利を保障する法制度。
  3. 議員活動を市民に報告し、説明責任に応える政務報告書の作成・閲覧等を定める法制度。

更にそのほか議員の活動について監視を強めていきます。

そこで当面、本年8月末の議員野球神奈川大会に撮影隊を派遣することにしました。

公共事業については、談合の蔓延と発注自治体の関与の実情に対して、入札参加要件に関する地域制限の大幅緩和、入札業者の詳細な積算内訳の提出義務と公開を提言します。

また政官業癒着によるムダな公共事業をなくし真に市民に必要な事業とする為に、公共事業の必要性をチェックする市民参加の第三者機関の制度的確立を求めます。

情報公開については、各自治体に於ける情報公開をいっそう推進すると共に、条例未制定の市町村で条例制定運動に取り組みます。

また情報公開については公開対象を特殊法人にも及ぼし、非公開事由を狭めると共に閲覧手数料を無料とし、コピー代を最小限にする事と地元に裁判管轄を認めさせる運動を展開します。

こんかい導入される外部監査に於いては、外部監査人の選任基準・選任手続きを公開すると共に監査経過・結果と判断根拠となる資料を公開する事を求めます。

以上の展開の為にも私たちは連携を深めつつ、自主性を持った草の根オンブズマン運動を全国的に展開します。

1998年8月23日
市民のための議員と行政を確立しようと集まった
全国市民オンブズマン大阪大会参加者一同

常磐新線(つくばエクスプレス)の問題点を追ってみる!②


柏市北部整備部の発表によれば、常磐新線の建設費の調達内訳は第1表の通りとなっています。これによれば、建設費総額と無利子貸付対象額との間に190億円の差額がありますが、その190億円は自主財源としてます。

自主財源と呼ぶからには、常磐新線の建設母体である首都圏新都市鉄道㈱の自力による調達資金と考えられますが、それは大きな間違いの様です。そのからくりは、後で説明をいたします。

また地方自治体からの出資金は1440億円となっていますが、この金額から第2表の都および県の負担割合により千葉県の金額を計算すると288億円となります。そして更に県・柏市・流山市の負担割合と金額を見ると第4表の通りです。即ち、柏市と流山市は86.4億円と同額の負担です。ところが両市とも実際の負担出資金は98億円となっていて、割り当て額より11.6億円も多く負担する事になっています。そして、この余剰負担金11.6億円は会社経費と説明されています。

この会社経費の負担額を沿線自治体全体で計算すると193億円に達します。即ち、出資金は1440億円ではなく、それに193億円をプラスした1633億円となるわけです。

会社の定款も1997年(平成9年)5月に授権資本を増加して326万6千株に変更しております。1株あたり5万ですから丁度1633億円となり、沿線自治体の出資総額が1633億円である事をこの面からも証明しています。そうすると建設費総額は1兆473億円ではなく1兆666億円となります。しかしマスコミも運輸省も柏市も建設費総額は1兆473億円または1兆500億円と発表していますから、この193億円は常磐新線の建設費とは見とめていない事になります。そうしますと、我々は首都圏新都市鉄道㈱と言う第3セクター、言うなら1私鉄会社の人件費等を含めた運転経費を税金にて負担している事になります。そして、その血税の中から多額な年間報酬と高額な退職慰労金は支払われたのです。

そればかりではありません。表向きの資本金1440億円も実質資本金の1633億円も完全に地方自治体に割り当てられていて、そこには民間資本の入る隙間は全くありません。即ち、最初から民間資本の参入が無くても全く支障の無いよう会社の枠組みを作っておきながら第3セクターを名乗ると言う、正に詐欺としか言い様のない状態が7年間続いてきた訳です。さいきん会社は民間資本の参入に見通しがついたと発表しております。しかしそれは第1表の資金フレームの資本金1440億円の中ではなく、財投等の中で資本調達をして資本金を増やすと言う事になるそうです。もちろん授権資本は1633億円より増加する事となります。これからも民間資本の参入は名前だけと言う事が感じられます。因みに民間資本の金額は200億円位とのとの事です。そして出資会社は100社を越えるとの事で、1社当たりの平均出資額は2億円を下回ります。これは、工事を請け負った場合、「交際費の範囲の出費ではないのか?」そんな疑問も感じます。

更に会社経費193億円は何に使われるのかが問題です。げんざい会社の人員は35名位ですから、一人当たり年間1000万円の経費を見ても、3億5000万円/年の支出となります。実際に1996年度(平成8年度)までの損益計算書を見ると、約2億4千万円から2億9千万円が計上されています。

第1表 常磐新線建設費の調達内訳
建設費総額 1兆473億円
(鉄道整備基金無利子貸し付け対象額)
1兆283億円
自主財源
190億円
無利子貸付
80%
出資等
20%
 
鉄道整備基金
40%
4113億円
地方自治体
40%
4113億円
出資金
14%
1440億円
財投等
6%
617億円
 
6年据置
10年償還
8年据置
10年償還
  昭61/4~平8/3まで
10年間の平均利率
変換方法 変換方法   金利  




















第2表 地方自治体への割り振り
東京都 埼玉県 千葉県 茨城県
40% 10% 20% 30%







第3表 各地方自治体の無利子貸し付けと出資金 (億円)
  東京都 埼玉県 千葉県 茨城県
無利子貸付 1645.2 411.3 822.6 1233.9
出資金 576 144 288 432
2221.2 555.3 1110.6 1665.9










第4表 千葉県内の出資金
千葉県出資金
県 40% 柏市 30% 流山市 30%
115.2億円 86.4億円 86.4億円
実出資金
131億円
実出資金
98億円
実出資金
98億円










いちおう安全率を見て3億5000万円として、開業の2005年(平成17年)までの14年間の経費を計算すると49億円で済みます。すると144億円は一体何に使うのか疑問が残ります。会社は増資の際の手数料や(現在の人員は事務系のみを計上していて)工務系の人件費等は損益計算書上の鉄道事業営業費には入っておらず、賃借対照表の建設仮勘定の中に計上しているとしています。しかし、いずれにしろ現在の会社経費が開業前までに50億円以下で済むのに、その他の経費がその約3倍近くの140億円以上になるのは以上としか思えません。あまりにも多すぎる感じです。ぜひ明細の発表をすべきと思います。(続く)

(三田村元孝記)

 

第2次海外視察旅行に於ける訴訟代理人の問題について


去る7月22日(水)午前10:20より、千葉地裁にて第2次東葛六市協議会海外視察旅行の裁判が始まりました。その第1回口頭弁論の冒頭に、原告側(柏市民オンブズマン)より、被告7名の訴訟代理人に柏市の顧問弁護士である内藤義憲氏が選任された事について、弁護士法や地方自治法等関係法令に抵触するものではないにしても、原告らは多大の問題意識を持っている事を述べてきましたが、ここに改めて問題提起をしたいと思います。
この訴訟の特殊性
 この訴訟は1997年度(平成9年度)東葛六市協議会海外視察旅行の違法・不当性を主張し、六市協会議の違法な決定に参画しかつ柏市議会にこれを持ち込み違法な決定をした柏市議会議長とその命を受けてその後の違法手続きを行った議会事務局長の責任を問い、併せてこの違法・不当な海外視察旅行に参加した市議会議員らに旅費等の返還を求める納税者住民が柏市に代わって起こした訴訟であり、原告らの請求理由・事実が認められた場合には、その利益は柏市に帰し、ひいては全柏市民の利益となるものであります。
この訴訟の被告7名の代理人となられ内藤義憲弁護士は、原告らが知る限り、1982年頃より柏市の顧問弁護士設置規定により、当市の顧問弁護士に委託され、永年柏市の行政法律問題のアドバイザーとして、他方では柏市が定例的に実施している市民を対象にした法律相談弁護士として活躍され、いわゆる「人権派弁護士」として高い見識を有する方であり、げんざい柏市から顧問料として月額18万8千円の報酬を受けているとの事であります。即ち、本訴訟代理人は前述の通り、柏市との委託契約で一定額の報酬を受領していて、身分的には当市の「非常勤の特別職」であり、それはまた柏市民全体に対する奉仕者でもあります。そうだとするなら、前記1の如き本件訴訟の特殊性との関係から大きな矛盾が生じます。
  市の顧問を引き受け、人権派弁護士を自認し市民の見方と言うのであれば、本来的に原告側の立場に立つべきと考えるからであります。
また被告らはいずれも日ごろ市民の代表・市民の立場を強調する市議会議員・市議会関係者であり、識見高き人として市民の尊敬を得ている人士でありながら、いかに知己ある弁護士とはいえ、前記のこの訴訟の特殊性を考慮すれば、時には公金の支出を含め市の御製に就いて厳しくチェックすべき立場の議会人が市の顧問弁護士を訴訟代理人として依頼する事の非常識さを改めて問うものです。
以上の点から原告らは、被告側・訴訟代理人に「李下に冠を正さず」の教えを体して自律的配慮を求めると共に、原告らの意のあるところが通じない時には裁判書に訴訟代理人の辞任勧告をして戴く様に申し述べるつもりであります。
(信太忠二記)

編集後記

暑い夏も終わり、いよいよ実りの秋である。残暑が厳しい折から昼寝でもしたいのに通信の発行予定日は容赦なく近づいて来ます。気にはしながら帰って来たら馬力を出してやる積もりで中国へ。シルクロードの旅8泊9日に行ってきた。案の定、腹痛で1週間寝こむ。旅の印象は強烈だったが、このため編集が遅れやむを得ず独断と偏見による第3号を作ってしまった。お詫び致します。

(三田村元孝記)

 

 

柏市民オンブズマン通信



第 2 号

            1998年(平成10年)6月25日




常磐新線(つくばエクスプレス)の問題点を追ってみる!

首都圏新都市鉄道(株)の常勤役員の推移  (敬称略)
  設立総会
(1991/3)
1991年度
(平成3年)
1993年度
(平成5年)
1994年度
(平成6年)
1995年度
(平成7年)
1996年度
(平成8年)
1997年度
(平成9年)
1998年度
(平成10年)
社長 阿部雅昭(元鉄建公団理事)――――――――――――――――――――――――――――――― →12月辞任 1月
水田嘉憲
専務 島崎 實(元自治省消防庁次長)――――― →12/12辞任 →2月上吉原一天
(日本消防検定協会理事長)――――
→9月辞任 1月
山崎浩司
  白兼保彦(元建設省大臣官房総括監察官)―――――――― →6月藤田 修――――――――――――――――――――――→
常務 西野保行(元東京都交通局理事)――――――――――――――――――――――――――――― →6月松本正敏――――→
  渡辺邦光(元茨城県西地方総合事務所長)―――――――― →6月新実清臣――――――――――――――――――――――→
  清水功一
(元千葉県住宅供給公社理事長)
→6月田場川英明
(千葉県農業開発公社理事長)
→3月辞任 →4月島田鐐一 →3月辞任 4月
横田一茂
    4月小室 大
(元埼玉県県民部長)―――――――――――
→3月辞任 →4月新井一裕 →3月辞任 4月
酒巻弘英
監査役 西村凡司
(元東京都職員信用組合専務理事)――――――――――――
→6月上田武男
(㈱ニュービアビルサ―ビス専務取締役)
→6月辞任  
1998年(平成10年)3月31日に首都圏新都市鉄道㈱の歴代の役員名簿および各年度の決算報告書等の公開請求を行った。公開決定の期限の4月14日になって公開決定期日を4月28日まで延長する旨の通知が来た。理由は「公開にあたり意見の聴取が必要なため」というものであった。その後、再延長する気配であったが、本オンブズマン会議事務局長が強硬に市に申し入れ、28日に公開された。しかし公開された役員名簿、決算書類はいたる所が黒く塗りつぶされていた。しかし取締役の任免には株主総会の議決が必要なため、その議案が公開された。(年齢、略歴などは塗りつぶされていたが)それを、順番に追って一表にまとめたものが掲載の表である。そして、最近、3月市議会の常磐新線特別委員会で市議員に配布されたパンフレットに塗りつぶされていない年度毎の決算書と常勤役員の報酬および退職慰労金が記載されているのがわかり、それをコピーさせてもらった。退職慰労金の欄には退職年月日と退職者数およびその前職名が記載されていたので、これを掲記の表にあてはめると自ずから、常盤新線(つくばエクスプレス)に携わる中央、地方行政庁の仕組みが表に出てきた元専務の島崎 實氏(元自治省消防庁次長)の辞任後は上吉原一天氏(日本消防検定協会―たぶん自治省消防庁関連と推測される)が引き継いでおり、島崎氏はそのご千葉県副知事になっておられる。元常務清水功一氏(元千葉県)の後継は田場川英明氏(元千葉県)となって、確実にその席を出身母体で占めているところから、次のことが類推される。
 社長は鉄道建設公団をもつ運輸省。2人の専務の1名は自治省、他は建設省、即ち常磐新線建設で初めて施行される  、宅鉄法関連の三省である。
そして常務の席はもちろん鉄道敷設が決まっている東京都、埼玉県、千葉県、茨城県の一都三県が占める。そしてその席は指定席として引き継がれてゆく。更に退職慰労金の支給額との表を組み合わせると、1993・1994・1996年度(平成5・6・8年度)は1名しか退職していないので特定されてしまう。
氏  名 勤務期間 退職慰労金
清水功一 約2年3箇月 493万5千円
島崎 實 約3年9箇月 1602万7千円
上吉原一天 約1年7箇月 615万2千円

これは相当に効率の良い退職金だと思う。しかも常勤役員8名へ毎年平均(1991年・平成3年から)1500万円~1600万円の報酬が支払われている。ふと思わず「○○に追い銭」などと口を滑らせると名誉毀損となるか?更に退職した人員が複数になるので、個人で退職慰労金の金額を特定することはできないが、1995年度(平成7年度)退職者として5名が記載されている。即ち専務(元建設省大臣官房総括監察官)白兼保彦氏――約4年3箇月、常務(元茨城県西地方総合事務所長)渡辺邦光氏――約4年3箇月、常勤監査役(元東京都職員信用組合専務理事)西村凡司氏――約4年3箇月、常務(元千葉県農業開発公社理事長)田場川英明氏――約2年9箇月、常務(元埼玉県県民部長)小室 大氏――約4年9箇月、これらの5氏に計5395万円の退職慰労金(平均1079万円)が支払われている。総計1億3千万円が我々の血税で支払われたのである。
(三田村元孝記)

★1997年度(平成9年度)市議海外視察旅行を監査請求!★


 1998年3月28日、柏市民オンブズマンは10名の連署で1997年(平成9年)10月1日~10月9日まで8泊9日の日程で、オーストリアとフランスを1人約53万円の費用を使い、海外研修(「目的」は高齢者福祉・医療・廃棄物処理行政)と称して行われた「海外視察旅行の実態は慰安観光旅行であり、その費用を公金で賄うことは違法・不当である。参加した市議会議員とこれを命じた市議会議長と議会事務局長は支出した費用の全額を柏市に返還するように」との監査請求書を提出しました。
 柏市民オンブズマンは既に1996年度(平成8年度)の海外視察旅行)(オランダ・デンマーク・スイスの3ヶ国)について同様の監査請求を行いましたが、柏市の監査委員会は不当にもこれを棄却しましたので司法の判断を仰ぐべく千葉地方裁判所で裁判中です。
 4月17日午前10時から、柏市監査委員会の会議室で監査委員4名、事務局職員5名列席、柏市民オンブズマンから8名が参加し、意見陳述を行いました。
 海外旅行参加の議員選出の監査委員が監査する(?)意見陳述に先立ち、監査委員2名(市議会選出)は過去の海外視察旅行に参加したことが明らかになり公正な監査は期待できないので、地方自治法199条の2「利害関係事件の監査禁止」に該当し、とうぜん除斥すべきであり、もし除斥しないのであれば忌避の申立てをする旨を主張し、約30分に亘り激しいやりとりを行いましたが、監査委員は「除斥事由に該当しない。忌避の制度はない。」を繰り返し、当該委員は「除斥する理由はない。」と嘯き、参加したオンブズマンの怒りや驚きを覚える一幕がありました。陳述した意見の要旨は次項のとおりです。
 「襟を正す」姿勢も「自浄能力」も無し!
(1) 東葛6市協議会(柏・松戸・流山・野田・我孫子・鎌ヶ谷の市議会議長、副議長で組織)が毎年10月に実施する海外視察旅行は今や修学旅行さながらの年中行事化した40名の団体観光旅行であります。それに使われる血税は2000万円を超えるが市政には殆ど役に立っていない。
(2) 国も自治体も財政難の折、行財政改革や不要不急の公費支出を抑えることは緊急の課題であり、その為には議会自らが襟を正し、行政に対し真に実効のある施策を求めることが強く期待されており、議会は率先して海外旅行を止めるべきだ。
(3) 昨年(1997年)オンブズマンは中止を求めて監査請求をし、陳情もした。反対の世論も広がり、市民の怒りも高まってき、マスコミも注目してきた。にも拘わらず海外視察旅行が強行されたのは議会の無反省・無自覚・自浄能力の無さを物語るもので、納税者・市民の立場からは許されるものではない。
(4) 旅行日程によると、公式訪問は僅か2日で全体の1/4、他の3/4は観光であり、このような観光旅行に事務局職員を随行させ、血税を浪費することは許されない。行くなら自費旅行を。
(5) 1993年度(平成5年度)の海外視察旅行で、流山の随行職員がスイスのホテルで自殺していたことが明るみに出た。非難は全国的に沸騰し、6市の市民の怒りは頂点に達している。内容をいっさい市民に公表せず、重大な事件発生も隠蔽する。6市合同の海外視察旅行は百害あって一利なし。即刻中止すべし。
証拠として、昨年(1997年)12月7日放映のサンデープロジェクト「地方議員の海外視察旅行の実態」を録画したビデオテープを提出し、厳正な監査を要請しました。
(石蔵保夫記)

★公文書の非公開、異議の申し立て、そして審査会での意見陳述★

昨年(1997年)12月2日、海外視察旅行の関係書類と出張費等の関係書類について公開請求をしました。これは、げんざい千葉地方裁判所で裁判中の1996年度(平成8年度)の海外視察旅行の費用を柏市に返還させる訴訟の資料として公開を求めたものです。
これに対して柏市長は12月26日、ごく一部については公開するが、その大部分については非公開とする、理由は「公開することにより、議会との信頼関係が損なわれ、今後の事務事業の円滑な執行に著しい支障が生じるため」と通知してきました。
柏市民オンブズマンで協議し、本年(1998年)2月3日異議申し立てをし「部分公開決定処分を取り消し、非公開とした全文書を公開すること」を求めました。
4月12日午後6時20分から市の公文書公開審査会で、貝塚正己審査委員長以下5名の審査委員が列席、オンブズマンから申し立て人の他4名の補佐人が出席し、以下の様な意見を交々陳述しました。
(1) 議会制民主主義のもと、議会に関する事項は公開することが原則で、地方自治法115条はその事を明記していること。
(2) 海外視察旅行は公務出張であり、その関係書類は公金支出の適正を期するため、法令により作成される様式文書であるから公開して当然であること。
(3) 市議会議長は「慎重取扱い」を要望しているが、「非公開」とは言っていないこと。
(4) 「議会との信頼関係が損なわれる」と言うが、その内容の具体的説明を立証もないこと。
(5) 市長は、市民の知る権利と市議会議長の要望を対等に取り扱い、市民と市議会・市政の信頼関係の発展に結び付けるようにすべきであること、等々。

★海外視察旅行の第2次訴訟を起こす!★

5月20日、柏市監査委員は「市議会議長と議員は監査の対象にはならないから却下」「海外視察旅行適正な行政視察で慰安観光旅行ではなかったし派遣手続きも経費の支出手続きも適正に行われているので議会事務局長に対する監査請求は棄却」すると言う極めて形式的に、また昨年と全く同じ様な理由で、公平厳正な監査を期待した納税者・市民の願いを無視する不当な決定をしました。
最近の経済状況の下で市民が苦しんでいる時、市民の代表である議員が、市民の批判が高まっているのに、敢えて不要不急の海外視察旅行に行くと言う事は、公務員としての基本的な認識、特に旅費も公金であり税金であると言う認識が、一人一人の議員にも、また、議会全体としても欠如しているのではないか。また、海外視察旅行は議員の「役得」と思っているのではないか。そう言う事が根底にあるとすれば、それは柏市の行政全体にも影響する問題でもある。不当な監査結果を正し、議員の自覚を促し、役得意識を改めてもらう為にも、提訴をして裁判所の判断を仰ぐ事を全員一致で決定しました。
6月16日、監査請求をした10名全員が原告団となり、柏市議会議長・議会事務局長と海外視察旅行に参加した5名の市議会議員に対し、議長と事務局長には連帯して損害賠償を、議員それぞれに不当利得金の返還を柏市に行うよう、柏市に代わって、千葉地方裁判所に提訴し受理されました。

この結果、げんざい千葉地方裁判所で裁判中の1996年度(平成8年度)の海外視察旅行の費用を柏市に返還させる訴訟(第一次訴訟)とこの第二次訴訟の二つが並行して千葉地方裁判所で争われることになりました。

柏市民オンブズマンへのご支援ご協力を物心ともに御願い致します。

(石蔵保夫記)

1996年(平成8年)度、市議による海外視察旅行住民訴訟の報告

「行政庁の訴訟参加決定に対する即時抗告申し立てについて」

即時抗告とは、「上訴」の項目にある解説では”下級裁判所の決定・命令に対する独立の上訴方法として抗告があり、裁判官の忌避の申し立て却下に対する即時抗告などがよく用いられる。”(知恵蔵)

本論前の玄関前のもみ合いではあるが、訴訟続行か取り下げか、大議論した問題なのです。平たく言えば、本多晃個人を被告にするか、本多晃市長を被告にするかの瀬戸際なのです。訴えは個人相手です。

千葉地裁は市長としての行政庁の訴訟参加決定をしたのです。

この決定を不服とし、東京高裁へ即時抗告の申し立てを行った。

行政参加の意味するところは、市長の裁判費用が公費で賄われるし、職員を市長の職権で協力させることができる、等の有利性が増大することです。

許せないのは裁判費用の点で、弁護士を三人も雇い、裁判の長期化によっては返還金の250万円を超える事も考えられます。これではドロボーに追銭のたとえで、税金の無駄遣いと批判されかねません。

しかし、我々の申し立てが認められると画期的な判例となることは間違いありません。東京高裁の決定が注目されます。

(小池盈久記)

世の変遷と市民意識

何か国からの発表があるたびに、ワースト3とか4とかで県民として、いつもうんざりさせられる千葉県なのだが、さくねん発表された全国オンブズマンのランキングでは、わが千葉県は上位6位だった。発表される公開文書の内容からすると、そんなはずがないと思っていた処、今年度ランキングでは落ちも落ちたり、30位下落して36位と尻から6番目である。昨年の評価は閲覧手数料無料、コピー代10円と他県より安い処が評価されただけの事と解った。オンブズマン全国大会に臨む千葉県民としては恥ずかしい限りであるが、知事を始めとする行政側は一向に反省する余地もなく、県民の不信感がドンドン増幅していく中で先が思いやられる。幸い県下でも、各市町村オンブズマンの気運が盛り上がってきて、県下横並び行政もこれからは今までのようにうまく行く筈もないのだか?

このさい行政当局の猛省を促したいものである。オンブズマンなど不必要な健全な行政を1日も早く確立させる事こそ、真の民主行政ではないであろうか?

(山下智博記)

編集後記

広報誌「通信」の創刊号を発行し終えて、一息つく間もなく第2号の発行に追われる有様です。お蔭様で創刊号の反響も悪くなく、当初発行した300部も在庫が無くなる状況です。

本号から発行部数を多少増やす事にしました。本号は創刊号より、月例会に於ける情報や幹事の皆さんの意思の疎通にも心がけ、ご意見の反映に僅かでも前進を見たつもりです。

しかし、月例会に出席できなかったメンバーや会員以外の方の声にも耳を傾けるべきと考えております。

より良い「通信」をお届け出来るよう、更なるご意見・ご叱正をお願い申し上げます。

(三田村元孝記)

 

柏市民オンブズマン通信 #1



創 刊 号

            1998年(平成10年)3月20日



あなたも運動に参加して下さい
――柏市民オンブズマン連絡会議――

前代表  村上隆久

私たちオンブズマンは市民の立場から、行政に対する苦情や行政の不正を監視する活動を行っています。この制度は、はじめスウェーデンで始まり、イギリスをはじめ今や世界各国で実施されていますし、わが国でも全国各地で近年急速に活発な活動が行われるようになりました。昨年も東葛六市(柏、松戸、我孫子、流山、野田、鎌ヶ谷)の市議会議員による海外視察旅行が行われました。私たちは、海外視察そのものに反対しているのではありません。必要な視察は行うべきです。しかし、議員が順番でする、しかも表敬訪問や観光コースの多いこの種の団体旅行は見直すべきだと主張してきました。こうした市民の運動によって、これまでの慣例化した東葛六市の市議による海外視察は中止されることとなったと伝えられております。私たち納税者である市民は、もっともっと税金の使われ方に関心をもって監視をしていく必要があると考えます。柏地区でも、活動は始まったばかりです、本格的な活動はこれからです。どうか一人でも多くのみなさんに運動への参加をお待ちしています。

1998年(平成10年)度の活動計画

  1. 基本原則

    • 市民オンブズマンの基本理念に立ち、行政の違法・不当を正し、市民に信頼され、市民のための市民主権を確立するため努力する。
  2. 情報公開活動

    • 全国オンブズマン連絡会議が呼びかける情報公開活動に協調する。
    • 市議海外視察旅行の裁判闘争を続け、1997年度(平成9年度)の件も提訴を予定する。
    • 柏市議会を柏市公文書公開条例に含ませる運動を継続する。
    • 柏市議に支給している市政調査研究費につき追求する。
    • 柏市監査委員の弁当代返還の請求を続行する。
    • 市内学校長(小学・中学)会の補助金問題で、その必要性・使途を追求する。
  3. 専門部会の充実と拡充

    • 柏市民病院・常磐新線北部再開発・環境問題・都市計画・教育問題に関する提議。
    • 常磐新線の採算性の徹底追求。当初運賃の設定。沿線地区の定着人口予測の根拠の論理性等を追求し、市民・県民・子孫の負担の解明に取り組む。
    • 南部の第2清掃工場建設問題に取り組む。
    • 柏市の単年度決算を企業会計決算への移行(柏市と公社との連結決算を含め)への要求(オンブズマンの目が行き届く可能性が多くなる)。
    • 市職員の給与・手当・退職金等の問題を追及する。
  4. 当会組織強化活動

    • 組織基盤強化のため会員増を積極的に進める。
    • 監査請求・住民訴訟・裁判法廷闘争の研究会を随時開く。
    • 市内における諸工事・土地先買い等のムダ遣いウォッチングを行う。
    • 市内紛争地帯ツアーを実施する。
    • 行政監視・裁判等をテーマにした公開講座・講演会を開催する。
    • 市民へのアッピールのため会報を年間四回以上発行する。
    • 柏市内外の市民運動団体と連携し交流を深める。

1 東葛6市の海外視察旅行

(1) 東葛6市(柏・松戸・流山・野田・我孫子・鎌ヶ谷)の市議会議員の合同海外視察旅行は、1986年(昭和61年)頃から毎年行われています。当初の目的や経過はどうであれ、今や修学旅行同様に年中行事化し、視察・研修とは名ばかりで市会議員等の慰安・観光旅行となっています。柏市では毎年200~300万円が予算化されており、既に数千万円の血税が海外視察旅行に費やされたことになります。
(2) 1996年(平成8年)度の東葛6市の海外視察旅行は、10月1日~9日まで、アムステルダム(オランダ)~コペンハーゲン(デンマーク)~チューリッヒ(スイス)の3ヶ国を巡るヨーロッパ旅行でした。柏市からは市会議員4名と事務局職員1名の計5名が参加し、旅費・日当宿泊費など合計約252万円余が全て公費で賄われました。

2 一斉に監査請求を実施

(1) 1997年(平成9年)7月、6市一斉の海外視察旅行の監査請求を決議し、7月18日に鎌ヶ谷市を除く5市で一斉に監査請求を行いました。
(2) 監査請求の趣旨は、東葛6市主催の海外視察旅行の主たる目的は「高齢者福祉行政と先進都市の行政機構、施策の調査研究」となっているが、視察実施内容にはこの目的と関係のない「慰安旅行」が全旅程の3/4を占めており、視察研修も当初の段階から調査研究内容が不明瞭で、東葛6市にとって「政策に活かせる」とは到底いえない。各市の財政が極めて厳しい状況下にある時、市民の代表として行政の監視を行う立場にある市会議員がこのような不要不急の観光旅行を行い、議会事務局員も随行し、公金を浪費することは許されない。従ってこの海外視察旅行に要した費用(旅費・宿泊費・飲食費・日当など)の全額を市に返還させること、同時に1997年(平成9年)度に実施予定の海外視察旅行は取り止めるように措置を求める、と言うものでした。
(3) その後8月26日、私たちは東葛6市議会に対し1997年(平成9年)度の海外視察旅行の中止を求める陳情書を提出しましたが、採択されませんでした。

3 不当な柏市の「監査請求棄却」の決定

(1) 1997年(平成9年)9月4日「本件監査請求は棄却する。」と言う決定が柏市監査委員から出されました。理由は
視察の行程・内容・成果等について関係人・随行職員等の事情聴取、関係書類の性差をした結果、行政視察としての適格性を欠くとは認められないし「慰安観光旅行」と断ずることはできない。
派遣決定手続等については、派遣者選考並びに研修行程等について6市協議の結果に従うこと等が各派代表者会議を経て、議会運営委員会で承認され、最終的に議長が決定している。
視察に要した旅費等の経費は、議長の派遣決定に基づき、予算の範囲内で執行し、適正に支出されている。
判例でも、議会は「議決機関として、その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し、合理的な必要性があるときはその裁量により議員を海外に派遣する事もできる。」と判示している。
従って、議会によって、必要な議員の研修であるとの判断で当該視察が実施された以上は、その必要性が全くなかったとは言えないし、裁量権の逸脱、濫用があったと認めることもできない。また平成9年度実施予定の海外視察研修の差し止め請求についても、同様に理由があるとは認められないから、請求は棄却する。
と言うものでした。
(2) 松戸市の注目すべき意見
松戸市の監査委員は「観光との疑いを招きかねない点もあった」として、
市民から疑いを招かないよう計画を十分精査する。
費用の一部負担について明確な基準を示すべき。
と指摘。「財政が厳しい状況では不急の視察研修はなるべく控えることが望ましい。」と言う要望書を市議会議長宛に提出しました。
(3) 9月7日、協議の結果、「柏市の監査委員の棄却決定は極めて不当で納得できない。特に、議会は何でも決めることが出来るし、議会が決めたことには文句は言えないのだ、と言わんばかりの論法には納税者・市民の立場からは絶対に納得できない。裁判所に提訴して司法の判断を仰ごう。」と言うことに衆議一決しました。

4 市議の海外視察で提訴、公金返還を求める、流山市でも訴訟の動き(9月26日付東京新聞)

(1) 1997年(平成9年)9月25日、柏市長に対し「海外視察旅行に参加した議員らの旅行費用約252万円を公金から支出したのは違法・不当であり、柏市に返還せよ。」との訴訟を千葉地裁松戸支部に提出しました。
このことは、当日午後のNHKテレビニュースで報じられ、翌26日の新聞各誌も大きく取り上げて報道されました。
(2) 訴訟の効果は次々と→”来年は中止!”
9月29日「鎌ヶ谷市政を考える会」が鎌ヶ谷市議会に東葛6市主催の海外研修の政かを市民にも分かるように報告して欲しいと、要望書を提出。
(9月30日付朝日新聞)
10月3日市議の海外視察旅行で提訴、柏に続き流山でも(10月4日付東京新聞)
「東葛6市議会の議員の海外研修、来年度は見合わせ『実態は慰安旅行』と提訴起きる」の見出しで、「このほど開いた臨時会で①各市の財政事情や個人負担割合などの検討が必要、②訴訟の経過をみる必要がある」―などから来年度は見あわせることにした。(12月3日付朝日新聞)
12月7日、テレビ朝日の人気番組「サンデープロジェクト」が「こんな無駄が許されるのか!地方議員の海外視察」と題して議員の海外視察旅行を取り上げ、その中に東葛6市の議員団に密着取材した様子がレポーターによって生々しく報道された。それは正に私たちが指摘しているように、視察・研修に名を借りた慰安・観光旅行であると言う実態を見事に暴露するものでした。
柏市民オンブズマンには多くの市民や県外からの人達からも、テレビを観た感想や激励の電話が寄せられました。

5 訴訟のその後の経過

(1) 訴訟は千葉地裁松戸支部から千葉地裁に移送され民事3部原田敏章・裁判長係で進められることになりました。
(2) 第1回口頭弁論は11月28日午前10時15分千葉地裁5階の503号法廷で開かれました。原告(私たち)の訴えに対し被告(柏市長)は、訴訟代理人に弁護士3名をたて、
行政庁の訴訟参加の申立書を提出。
訴えの第2「平成9年度の海外視察旅行の差し止め請求」は、訴えの利益が無くなったので却下を求めるとの書面を提出。
「平成8年度の海外視察旅行費用の返還」については全て争う旨の答弁書を提出。
(3) 第2回口頭弁論は1月23日、501号法廷で開かれました。私たちは上記の①~③に対し、
行政庁の訴訟参加の申立は、弁護士費用等を公金から支出するため、また市の職員らを訴訟準備に動員できるようにするためであり、認められないこと、また参加の必要性は全く無いので却下すべきである、との書面を提出。
平成9年度の海外視察旅行については、訴えの変更をして対応すること。
費用の返還等を争う答弁書に対しては、6項目の質問事項書を提出。
第3回口頭弁論は4月10日午前10時15分から開かれることになっています。
(4) 平成9年度の海外視察旅行は、参加した議員全員に対して旅費等の返還を求めよう、との意見が強く出されています。乞うご支援!(石蔵保夫)

1997年度(平成9年)活動報告

  • 1996年11月23日、第12回例会で市土木部食料費等の公開請求につき討議される。
  • 同年12月6日、上記の請求をし12月25日に274頁を入手する。
  • 12月14日の例会で「市民オンブズマン」の定義を討議する。
  • 1997年1月18日の例会で柏市議宛 情報公開・海外視察・市政調査研究費につきアンケートする事が検討される。
  • 2月14日、土木部公開資料につき担当課長から説明を受け、監査請求・住民訴訟を予定する。
  • 2月例会で公開講座の準備、4月実施が決まる。
  • 3月7日、土木部旅費・食糧費で監査請求を行う。
  • 3月、市議会議員の弁当代が自己負担となる。
  • 3月、柏市議へ情報公開のアンケートを発送する。
  • 4月19日、第1回公開講座の実施。28名が参加。
  • 5月例会で土木部出張旅費・食糧費の件で住民訴訟をやるか止めるか全員で討議し決着がつかず。
  • 6月例会は台風のため流会。
  • 7月13日、第4回幹事会を開催する。東葛6市市議海外視察旅行の一斉監査請求の討議。
  • 7月例会で土木部の住民訴訟を討議、結論出ず。
  • 8月18日、全国市民オンブズマンへ加盟金を送金する。
  • 8月例会にて市議海外視察の住民訴訟が決定する。
  • 9月9日、上記の件を欠席会員に経緯を通知する。
  • 9月例会は住民訴訟につき集中討議する。
  • 9月25日提訴。
  • 9月28日、柏駅東口で海外視察中止を求める署名運動を10名参加で行い、100名の賛同を得る。
  • 10月例会で全国オンブズマンの第2回ランキングにつき討議。
  • 12月例会は裁判と総会の協議を行う。

編集後記

この度、柏市民オンブズマン連絡会議の広報誌を発行することになり、その責任者に指名されました。誠に荷の重い、過ぎたる役務ではありますが、誰かが受けて実行しない限り発刊は夢に終わってしまうと考え、不肖の身をかえりみず、お引き受けいたしました。

そして、創刊号を発行するには、まず出すことを最優先にして、その第1号をたたき台として、各方面からご叱責、ご教導をいただき順次改善をしていき、”より良い”そして”より解り易い”紙面作りを考えております。

創刊号は現在、柏市民オンブズマン連絡会議が、最も注力している事項の一つである「柏市議会議員の海外視察旅行を提訴している」件につき、今までの経過を明解にお知しらせいたします。

法廷闘争の今後の対応も広く訴え、市民の皆様と共に考えていただく事を念頭に、大きく取り上げてみました。

まだまだこれ以外にも誌面に掲載し、皆様がたと考え、行動を起こしたいことが多々あります。しかし、まだ設立年数は短く、経済的基盤も弱い幣連絡会議としては、A4版4ページが精一杯です。

今後とも、体力、基盤を強め、増ページをして広く市民の皆様に問題提起をして行きたいと考えております。

どうか暖かく長い目で、ご支援いただき、遠慮なくご叱正、ご鞭撻いただきたくお願い申し上げます。(三田村記)