柏市の財政状況は、従来経常収支比率とか公債比率等の幾つかの財政指標を示して、概ね健全であるとの説明を受けてきており、また市民も千葉県内の他市町村と比較して良いという方の上位にあると考えていると思われる。

しかし、市町村の財政は、単年度決済であることから、真実の状況というものは見えてこないというのが実状であり、行政がそう説明しているのだからそうなんだろう、という行政の説明を鵜呑みにしてきたきらいがないとは言えない。

しかし、去る平成１５年９月１９日に木更津市の市民団体「地方自治研究会」（河辺伊知郎代表）が、全く新しい手法による千葉県内の８０市町村の財政状況を解析して「千葉県市町村家計簿」として発表した。それによると、平成１３年度以前の過去２０年間の投資資産を検証し、さらに人口（平成１４年住民基本台帳人口）で割った住民一人当たりの資産を算出している。そして、その市町村の現在の負債も住民一人当たりに換算し、資産から負債を除いた（引いた）金額を住民一人当たりの純資産として提示している。

即ち―純粋な建設投資額（人件費を除いた建設投資額）を資産額と見なす―
　　　―換金不能ならば、かけた費用を資産に計上―
　　　―次のルールによる資産額を評価（歯止め）―

1. 最近（平成１３年度以前）２０年分の投資分と積立金現在高の合計を資産とする。
2. 過去１２年より前の８年分は、過去に溯る１年毎に減価償却分を５％づつ加算し、資産より控除する。
3. 貸方には債務総額（地方債現在高及び平成１４年度以降支出予定債務負担の合計）を当て、借方（資産）との差額を純資産として計算する。

この手法による財政状況の提示が真実に近いのか、従来の行政の説明が真実に近いのかは非力な私には断定でき得ないが、このような手法で説明された財政状況があるということを広く柏市民の皆様に知ってもらうために、敢えてここに取り上げさせていただくもである。この発表によれば、

① 勝ち組型	投資が多く、債務がすくない。税収も多いのだろうが、経営力が優れ、健全経営のお手本。こんなまちに住みたい。（例：芝山町）
② 一発勝負型	投資多いが、債務も多い。資金繰りできなければ即借金地獄に。無謀それとも思い切りが良いのか？（例：本埜村）
③ ほどほど型	投資も負債もほどほどか？ある意味では手堅いかもしれない。（例：富津市）
④ 無気力型	債務が少ないのはけっこうだが、社会投資も少ない。要するに何もしないで公務員をくわせるだけのまち（例：銚子市）
⑤ 負け組型	投資が少ないくせに、債務だけ多い不思議なまち。経営力なし、というか借りたお金などどこに消えた？住んではいけないまち。（例：茂原市）

 

という５つの分類に分かれるという。

それでは、柏市はどこの分類に入るのか。千葉県内８０市町村を全部並べきれないので、適当に抜粋して表示させていただく。

 

ベスト１０（資産・純資産は多いもの順、負債は少ないもの順）　　　　　単位：円

順位	住民1人当たりの資産		住民1人当たりの負債		住民1人当たりの純資産
１	本埜村	３４５万０４７４	袖ケ浦市	１４万６１６４	芝山町	２９５万５８３５
２	三芳町	３１６万１５６９	大網白里町	１８万８６３７	三芳町	２６８万２６１１
３	芝山町	３１５万９７６７	四街道市	１８万８９２８	長柄町	２６５万３９６５
４	長柄町	３０９万９３０７	我孫子市	１９万０８５０	本埜村	２４８万０６６２
５	神崎町	３０１万３０８６	船橋市	２０万２９９５	栄　町	２４７万９４２３
６	栄　町	２９１万１４３４	芝山町	２０万３９３２	神崎町	２４７万０１３２
７	印旛村	２９０万０５０４	東庄町	２０万６７４０	睦沢町	２４４万９８４９
８	睦沢町	２８２万４５６７	白子町	２１万０１３３	松尾町	２０７万９２７７
９	印西市	２４７万８２９５	市川市	２１万４６９４	大多喜町	２０３万１５０３
１０	丸山町	２４０万５２９９	長生町	２１万４７６６	長南町	２０２万１９４６

抜　　粋　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　単位：円

順位	住民1人当たりの資産		順位	住民1人当たりの負債		順位	住民1人当たりの純資産
１７	成田市	２２１万０４３７	１８	鎌ヶ谷市	２３万４１８７	１９	印西市	１７８万４９１５
３０	千葉市	１８１万８４３９	２２	流山市	２４万７４５１	３４	浦安市	１３０万６９９６
３３	浦安市	１７２万０５０４	３４	松戸市	２９万２７０６	４８	千葉市	１０９万２５２３
４９	白井市	１３８万４９３８	３９	沼南町	３２万７３１１	５５	白井市	９１万３４９６
６１	野田市	１１４万１３６７	４０	野田市	３２万８４４２	６２	野田市	８１万２９２５
６３	沼南町	１１２万６１２９	５０	浦安市	３５万９５０８	６３	沼南町	７９万８８１８
６８	茂原市	１０４万７７９６	６５	柏　市	４４万５３８１	６９	船橋市	７４万３３０９
６９	柏　市	１０４万６４６６	６７	白井市	４７万１４４２	７０	市川市	７２万１９８０

ワースト１０　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　単位：円

順位	住民1人当たりの資産		住民1人当たりの負債		住民1人当たりの純資産
７１	船橋市	９４万６３０４	富浦町	４８万７５４６	我孫子市	６８万３９６３
７２	市川市	９３万６６７４	富山町	５０万７５０１	鎌ヶ谷市	６７万５４５４
７３	酒々井町	９３万５５１３	和田町	５４万２０４５	八千代市	６４万１２４９
７４	八千代市	９２万２４３４	神崎町	５４万２９５４	佐原市	６３万９９２３
７５	鎌ヶ谷市	９０万９６４１	鋸南町	６８万６４９１	流山市	６３万９４７８
７６	佐原市	８９万７３０６	印西市	６９万３３６０	酒々井町	６３万６４５６
７７	流山市	８８万６９２９	千葉市	７２万５９１６	銚子市	６２万１０４０
７８	松戸市	８８万６７１６	鴨川市	７４万７９４９	柏　市	６０万１０８５
７９	我孫子市	８７万４８１３	印旛村	９６万１３２１	松戸市	５９万４０１０
８０	銚子市	８６万０９８２	本埜村	９６万９８１２	茂原市	５６万５４１７
	千葉県平均	１６９万７６２７	千葉県平均	３５万８１５６	千葉県平均	１３３万９４７１

上表から読み取れるのは、柏市（建設投資額等）は資産が少ないのに（８０市町村中６９位）、負債は多く（６５位）、純資産にいたっては千葉県８０市町村中７８位、何と！

 

これを、前記の分類に当てはめれば、⑤負け組型　住んではいけないまちになることは、一目瞭然である。

このような財政分析が絶対的に正しいと主張する気はないが、しかしこのような分析によって千葉県８０市町村の中で、柏市はビリから３番目の純資産しかないというのは、明らかに今までの市当局幹部の経営に誤りがあり、その能力に欠けていたものがあると言わざるを得ないのではないか。まさに借りたお金はどこに消えた？

常磐新線開通による北部開発が本格化してくれば、負債はさらに膨れ上がり、柏市は千葉県内では断突のワースト１位になることは間違いないと予想される。